晴れときどき二胡

ケ・セラ・セラな 日常と、ときどき二胡のお話です ... の筈でした

 

皐月栄う (さつきさかう)

久しぶりの二胡の話題です。(笑)
毎年恒例の二胡一門の発表会が、今年も無事に終了しました。

私の今年の曲目は、「流波曲」。通常の二胡より低音の二泉胡での演奏です。
作曲者は孫文明(1928年-1962年)。1952年まだ24歳の時の作品です。奇しくもこの年に私は生まれました。
孫文明は、浙江省紹興出身で、4歳の時に天然痘の後遺症で両眼とも失明しました。その後、12歳から二胡を習い始めましたが
私が昨年演奏した「二泉映月」を作曲した阿炳と同様に、大道芸人として暗黒の旧社会において、阿炳と境遇の似た苦難に満ちた
流浪の生活をおくっていました。この曲は異郷での苦しい生活を描いた叙事詩です。心を込めて弾かせていただきました。

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最近、写真写りの芳しくないオッさんになってしまいましたので、ちょいとドラマチックに古写真風に格好つけましたー。(笑)

さて、5月も、もう残り少なくなりました。
二十四節気の小満の次候は、旧暦の七十二候においては「紅花栄う (べにばなさかう)」と言い表されております。
山形あたりでは、美しく咲いているのでしょうか。神戸では紅花は見かけることは叶いませんが、鮮やかな皐月の花が満開です。

素晴らしい咲きっぷりですねー。
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そして紫陽花たちも負けてはいませんよー。(笑)
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ガクアジサイも開花し始めました。
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メタリックに輝くマツバボタンたち。
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ラベンダーも涼しげですねー。
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我が街の真ん中にある噴水や水路の水辺。
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今年もつがいの鴨がやって来て、羽を休めています。
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午前中にもかかわらず、もう真夏日の神戸でした。

炎天下の散歩は早々に切り上げて、涼しい我が家の室内でいただいたのは、飯寿司(いずし)です。
魚を麹などで漬けて発酵させたものなのですが、我が故郷の北海道では紅鮭、ニシン、ハタハタなどが冬の味覚です。
今回は、神戸の百貨店の加賀百万石うまいもの展で、GETしてきました。手前がニシン、奥がサバです。

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ニシンの香ばしさ、サバのしっとりとした甘みがなんとも言えません。あああー、ん、ん、んまいーっ !!
本日も、ごちそうさまでしたー。

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水無月

6月になりました。
陰暦では水無月(みなづき)という呼び方がありますが、実は「みなづき」の「な」は「無」という意味ではありません。
この「な」は文法的には「の」と同じ所有格を表す後置詞で、「水な月」とは、つまり「水の月」ということなのです。
ですから一斉に田んぼに水を引く水の月、「な」に「無」の字を使うのは、神無月(かんなづき)と同様の当て字なのですね。

と、つい調子に乗って蘊蓄を傾けてしまいましたが、水の月の始まりは日本全国猛暑でしたねー。(笑)

年に一度の、二胡一門の発表会も昨日無事終わりました。
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私は今年は、初めて低音二胡である二泉胡を弾きました。
毎日毎日ストイックに練習に明け暮れていた数年前よりも、気持ちよく楽しんで演奏することができたように思います。

打ち上げでの飲み放題のワインのお陰で、少々宿酔い気味の午前中でしたが、しっかりと散歩に出かけました。(笑)

公園の緑は、ますます濃くなっています。
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しかし昨日の猛暑が今日も続いていて、歩いていると本当に木陰が恋しくなりますねー。
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今、我が街の散歩道をあちらこちらで彩っているのは、このキンシバイのビタミンカラーです。
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ヤシの木やフェニックスの立ち並ぶ公園。原っぱが膝上までの高さの花々で覆われていました。
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涼しげなハルジオンたちの群れです。
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小磯美術館横の丘陵の大きな石の上にいたのは、茶トラ白の花子ちゃんでした。
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この子は石の上がお好みらしく、よくこういうシーンに出逢います。夏場は石焼きにならないのかしらねー…。(笑)
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今日は、我が家の近くのカフェで、サクッとモーニングをいただきました。
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散策のあとでエアコンの効いたカフェはありがたいものですね。ああー、ん、ん、んまいーっ !!
本日も、ごちそうさまでしたー。


二胡的日々のカタチ

正月松の内もいよいよ今日で終わり、世の中も平常モードとなりつつあります。

この年末年始、神戸はよいお天気に恵まれました。七草粥の日の今日も透き通った空気の中、六甲山が綺麗でした。
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さて、当ブログは標題の通り、当初は私が長年取り組んでいる、二胡という中国伝統楽器の蘊蓄をときどき傾けることを
趣旨として始めましたが、最近ではすっかりお散歩風景と外猫たちと、んまいーっ !! のブログと化しております。(笑)
しかし私の日常の楽しみの中で、二胡は相変わらず大きな位置を占めています。

さすがに暫く前までのように、1日に5時間も6時間も練習するというようなストイックさは薄れて来ましたが
それでも毎日の練習は今でも欠かすことはありません。久しぶりに今日は二胡のお話をしようと思います。

新年になって我が老師一門でも、新年会や演奏会へ向けての合同練習などが動き始めるようです。
私の現在の課題は、今年ソロで演奏する曲である「二泉映月」の完成度を上げることと、二泉胡の音質改善です。
私の8把目の二胡となる二泉胡が、私のもとにやって来てからほぼ1年となります。(→ 二泉胡がやって来た)

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二胡より少しだけ大きい低音二胡としての二泉胡は、2本あるうちの太い低い方の内弦の高音域の音を綺麗に出すことが
なかなか難しい楽器です。この1年かけてかなり弾き込むことで、この二泉胡の銘器としての実力をかなり引き出せた
のではないかと思っています。いろいろと試行錯誤した結果、最近では弦を普通の二胡の弦に替えて、4度下の調弦で
使うことで、内弦や外弦の超高音域の音の抜けを改善して来ました。

ところが「二泉映月」を無伴奏で弾いている時はいいのですが、演奏会に備えて管弦楽の伴奏で弾いてみると
音が繊細で線が細すぎて、オーケストラの伴奏のボリュームに埋もれてしまうことが分かりました。

で、年が明けてからここ数日は、またいろいろと試行錯誤した結果、本来の二泉胡専用の太い弦に戻すことにしました。
ただし二胡の4度下のA-E用の弦ではなく、より太い5度下のG-D用の弦をA-Eにチューニングして使うというものです。

同時に、琴駒も琴弓も松脂も、もう一度見直すこととしました。

これが琴駒です。蛇皮へ弦からの振動を伝える極めて重要な役割を持っています。材質や形で音質がガラリと変わります。
これらの琴駒は全て私の自作で、銘木の塊から一つひとつ3時間ぐらいかけて削りだしたものです。
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で、弾き比べて最終候補として残ったのがこの2つ。左がアフリカのウェンジュ、右が南米のスネークウッドです。
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今回「二泉映月」用に使うことになったのは、右のアマゾンの銘木、スネークウッドを削りだした琴駒です。
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毎日弾き込んで行くうちに、二泉胡と一身一体となっていくでしょう。
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琴弓は太い弦には馬尾のボリュームの多いものではなく、馬尾の本数も少なく竹の細い方がいい振動を生み出せるようです。
以前入手した、名演奏家の蒋風之が生前に特注で、琴弓製作名人の王小迪に作らせたという琴弓を今回使うことにしました。
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松脂は、私は普段から二胡用には粘度の少ないものが好きなのですが、今回の二泉胡にはバロックバイオリン用の
粘度も高く食いつきの良い、ギリシャの松脂を使ったMELOSに替えてみました。夏場いけるかなー。
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これで懸案の二泉胡の音質改善はいったん整いました。あとは毎日弾き込むことによって音を研いで行くばかりです。

今日はオマケの二胡的マクロ風景を、ちょっと切り撮りましたー。(笑)
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さて、今年初の外ラーメンは、我が家御用達の御影の山神山人 (さんじんさんじん)で定番の黒盛り。
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極細麺とニンニク、黒マー油の風味のスープはいつ食べても絶妙です。あああー、ん、ん、んまいーっ !!
本日も、ごちそうさまでしたー。


霜月のはじまり

今日から11月です。私が1年の中で最も好きな月がこの11月です。
私の11月は、朝一番での二胡のレッスンから始まりました。

このレッスン室で我が老師と、2時間以上 四方山話をしながら 今日もみっちりと稽古をつけていただきました。(笑)
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壁面には上海の人間国宝級の巨匠である、王根興師の逸品などを中心に、二胡の銘器たちがずらっと並んでいます。
(銘器たちをじっくりとご覧になりたい方はこちら ⇒ )
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さて昼食をとって帰宅すると、午後2時を回っていました。本日も秋の昼下がりの穏やかな雰囲気を楽しむ散策です。

車のフロントガラスに映った青空が、とっても綺麗でした。
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霜月のはじまりの日の、我が街の情景を切り撮ってみました。皆様にものんびりと雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。

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南の公園で、枯れ葉のベッドで、ひっついて寛ぐニャンズたちを発見しました。元気でがんばれよー。
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さて本日のお昼ご飯は、御影のショッピングモールの中にある、お好み焼き屋さんへ。大阪は鶴橋発祥の有名チェーン店です。
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オムそばと焼きそばをいただきました。昔は我が街にもこのお店があってよく通っていたのですが、久しぶりです。
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やっぱりアツアツの鉄板からいただく焼きそばは最高ですねー。ああー、ん、ん、んまいーっ !!
本日も、ごちそうさまでしたー。


【本日のオマケ】
私がご訪問させていただいている何人かブロガーさんたちにも人気のアプリで作った、ノボル君 です。ふふふ男前。
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アプリを試したい方はコチラ ⇒


美しき二胡、美しき花

いよいよ8月に突入ですね。神戸は、まあ相変わらすボチボチのお天気ですなー。(笑)

えー、このブログでは、ごくたまーに、二胡のお話をさせていただきます。
本日は二胡の個人レッスンのため、朝一番で六甲道の老師のレッスンルームへ行って来ました。
本当は1時間のレッスンなのですが、老師と四方山話をしながら、いつもは2時間ぐらいは居座ります。(笑)
今日は、最近、二胡のブログネタがないので、老師のところに陳列してある二胡の写真を撮らせてくれと
無理やり頼み込んで、二胡ではなくカメラを持って遊んでしまいましたので、結局3時間も居座りました。(笑)

まずは老師のレッスンルームの壁面を飾る二胡たちです。(すべて現在販売中のものです)
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この写真は、まだほんの一部なのですが、ご興味がおありの方や、きちんとした商品写真をご覧になりたい方は
恐れ入りますが、我が老師のHP 「江南春琴行」 をご参照ください。

我が老師のところの二胡の最大の特徴は、おそらく日本で唯一、王根興師が自ら製作した美しいデザイン二胡を
取り扱われているということに尽きるのではないかと思います。

王根興師は当ブログでも何度かご紹介したことがある、中国でただ一人、高級技師 (日本でいう人間国宝 )の
国家資格を授与された二胡製作の巨匠です。もう高齢のため現在では殆ど二胡を製作されていないのですが
2009年から、愛弟子で中国伝統音楽研究家としても名高い沈正國師とともに始めた、デザイン二胡の製作には
特別な精魂を込めて取り組まれているようです。
当ブログの丸いヘッダー部分を飾っているのも、私が所有する王根興師の「荷塘月色」というデザイン二胡です。
(詳しくお知りになりたい方は、当ブログの過去記事 もご参照ください。)

今日は、そんな王根興師の精魂込めた力作の逸品たちをご紹介したいと思います。

幽蘭香祖 (ゆうらんこうそ) 2011年設計。
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紅山玉龍 (こうざんぎょくりゅう) 2009年設計。
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縄彩飛揚 (じょうさいひよう) 2009年設計。
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祥雲海上 (しょううんかいじょう) 2011年設計。
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中国の古典作品や古代文化をモチーフに沈正國師が設計・彫刻し、王根興師が二胡の音の命とも言える蛇皮を
自らの人間国宝級の技術を注ぎ込んで張った、これらの二胡はもう世界に数十本しかない超逸品ぞろいです。
これらは芸術品としてだけではなく、もちろん楽器としても世界最高水準の音色を紡ぐ逸品なのです。


さて、二胡の写真を撮って遊んだ みっちりとレッスンの後は、久しぶりに住吉界隈へとやって来ました。(笑)

JR住吉駅の沿線には約100mほどにわたって、地域の住民の方々の手による花壇があります。

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ここの花壇にあまりにも綺麗な花たちが咲いていましたので、少しだけ切り取ってみました。

カンナ。  鮮やかで凛とした姿です。
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センニチコウ(千日紅)。 黄色いアクセントが印象的でした。
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デュランタ。 何という気品のある紫でしょう。
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ヒメリンゴ。 なんか美味しそう。鳥に食べられないかな。
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アゲラタム。 モフモフの紫が可愛らしい。キク科です。
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ランタナ。 色々な色彩で楽しませてくれますが、白と黄もいいですねー。
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オキザリス・トライアングラリス。 カタバミの一種ですが、蝶のような葉が美しい。
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最後は、ハツユキカズラ。 まるで貴婦人の装いのようです。
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この群生を見ていると、涼やかな気持ちになれます。
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さて本日の昼食は、住吉のお好み焼き屋さん。
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広島焼きと、どろ焼きというものをいただきました。
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どろ焼きは、まるでたこ焼きをお好み焼き風にしたような姫路のB級グルメらしいです。出汁につけて食べます。
今日はスジこん入りを食べました。明石焼ともちょっと違って、これは、ん、ん、んまいーっ !!
ああ、今日もごちそうさまでしたー。

銀の雨の日

今日の神戸は梅雨らしいお天気です。朝からしとしと降ったり止んだりでした。

お昼頃の六甲山も、厚い雨雲に覆われていました。
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そして、夕方からはトワイライトの中、銀の雨となりました。こういう雨の姿は私は嫌いではないですねー。
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さて、今日は朝一番で二胡のレッスンで六甲道の老師のところへ。
最近、私は二泉映月も弾き始めましたので、レッスンには二胡と二泉胡を両方とも持っていきます。
いつもは車に2把入りの7kgちょっとの重たいケースを積んでいくのですが、雨の日は傘を持つので
楽譜3冊と足台や小物が入ったレッスンバッグも持つことを考えると、駐車場からの歩きが大変です。

この2把入りのアルミニウムケースは、アタッシュケースでお馴染みのゼロハリバートン社製です。
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ショットガン用のケースを北米から取り寄せて、二胡ケースに内装を自分で改造しました。
二胡と琴弓を2セット収納でき、完全密閉になるため湿気を寄せ付けません。ただ重いことが難点です。
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今日は、安価な2把用のソフトケースに移し替えてレッスンへ向かいました。肩に掛けられるので
雨の日は楽なのですが、薄いソフトケースに高価な工芸品のような楽器を入れることへの不安はあります。
今月末、老師が台湾へ行かれますので、もう少し頑丈で軽い2把用ケースを探して来ていただくことに。
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さて、昨日新しいカメラがやって来ました。今年3台目のカメラです。(笑)
ミラーレスのNikon1の初代型が旧製品となって、価格が急落していましたので市場から消える前にと思い、
ダブルズームセットを入手しておきました。ダブルズームで35mm換算で27mm-297mmをカバーします。

早速、アルミ削り出しのカスタムグリップなどを入手して取り付け、いじくり倒しております。(笑)
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散策用に常時ヒップに吊り下げて携行している、ライカのコンデジ。光学で25mm-600mmをカバーします。
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今どきのスペック的には平凡なのですが、お散歩カメラとしては、このライカがあまりにも使い勝手が良いので
Nikon1の方は超広角撮影に特化させたいと、いま密かにあれこれと改造計画を練っているところです。(笑) 

今日は、Nikon1の試写を兼ねて、レッスンから帰宅後、Nikon1の望遠ズームだけ持って散策に出かけました。

家を出ると、白いクチナシの花が咲いていました。辺り一面にいい香りが漂っています。
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我が家の前の、雨上がりのナンキンハゼの葉です。
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美術館裏の茶トラ白君。297mmではここまでが限界。寄ると逃げられました。ちょっとピンぼけですネ。
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トウカエデの翼果です。まだ瑞々しい感じですねー。
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歩道橋の上から覗き見た、ケヤキの若葉です。こういう造型にはいつも見とれてしまいます。
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これもケヤキの葉です。水滴をいっぱいためて気持ち良さそうです。
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帰りにスーパーで売っていた甘そうなスイカ。つい買ってしまいました。(笑)
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さて、今日の遅めの昼食は、水辺の公園近くにある、ラーメン真 へ。我が街の老舗です。
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湯気の中で、店主が忙しそうに動いていました。
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この街の外人さんたちにも、人気があるお店なのです。
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本日は、Regular Ramen。20年間変わらぬ定番の味です。
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とんこつベースに、にんにくチップなどをブレンドしてあっさり系の味にしています。
20年間食べ続けたラーメン。ああ、ん、ん、んまいーっ!!
この味はヤミツキになります。本日も、ごちそうさまでした。


青谷川を歩く

昨日は神戸も久しぶりの恵みの雨となりました。
年に一回の一門の中国伝統音楽の発表会が西宮のホールで開催されました。
朝9時過ぎから楽屋入りし、リハーサルやカメラ撮影係などで夕方5時までの時間があっという間に
過ぎてしまいました。私自身も数曲の二胡演奏をしましたが、演奏を堪能することができました。

昨日の、私の独奏の様子です。
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一門の皆さんも切磋琢磨されていて演奏のレベルも高く、素晴らしい演奏会となりました。
老師を始めとして、お仲間やゲストの皆様、お疲れ様でした。また日々腕を磨いて参りましょう。

さて雨が上がった今日は、所用で阪急王子公園駅の近くまで来たついでに、車を置いて少し歩きました。
今日歩いたのは、王子公園駅から北へ、六甲山系の一つ摩耶山 (まやさん) への参道となっている
青谷川 (あおたにがわ) 沿いの散策路です。

車の窓から見えた本日の六甲山。こんな景色もなかなか素敵です。
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標高702mの摩耶山にも、まだ雲が残っていました。
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このあたりは季節になると、「鬱金(うこん)桜」通称「黄桜」 が咲くことでも有名です。
残念ながら、今年はもう終わってしまいましたので、来年の鬱金桜に期待したいと思います。

青谷川沿いには、このように閑静な散策コースもあります。
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緑が多く落ち着ける場所ですね。
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すぐ横を流れる青谷川。あ、ニャンコ発見。
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ごめんごめん、ここは君の縄張りだね。静かにしているから堪忍ね。
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川岸の高い石垣には、たくさんの 野菊 が風に揺れていました。
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つつましく清楚な感じがいいですねー。
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私の近くに止まった、モンシロチョウ。今年初めて見るかな。
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これは巨大なクスノキから芽生えている若葉です。若葉はこんな色をしているのですねー。
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これは、ひょっとしたら鬱金桜のサクランボかも。花がないのでよくわかりません。(笑)
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散策路の出口では、ムクドリが獲物を口にして走り回っていました。ヒナの所に持って行くのかな。
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帰路の商店街の軒先で見つけた、ツバメの巣 です。ヒナたちが餌を待ちわびています。
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さて今日のお昼は、王子公園から車で少し戻って、新在家にある らーめん処 山神山人
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ここは、私は御影のお店によく行きますが、店ごとに少しメニューが違います。
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私が食べたのは、この チャーシュー麺。
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山神山人のバラ肉焼豚は、口に入れるとトロけます。定番のマッタリ豚骨スープが細麺によく絡みます。
ああ、ん、ん、んまいーっ !! 至福のひととき。(笑)
本日も、ごちそうさまでした。


準備はいいか。

本日の神戸は薄曇り。明日以降だんだんと崩れていくような予感がします。
この土日は神戸祭りがあり、各地区のだんじりや三宮でのサンバのパレードなどがあります。
私の記憶では、神戸祭りの日は毎年いつも雨が降っているような気がします。(笑)

今日は久しぶりに二胡のお話をします。(笑)
3日後の日曜日には、我が老師一門の演奏会があり、二胡や笛子などの中国伝統楽器の演奏や
中国の古典的な舞台演劇である戯曲の一形式である昆曲の上演などがあり、私も出演いたします。

昨年の昆曲の上演の様子です。
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一昨年の私のソロ演奏。この時の私の風体はまだビジネスマンモードです。髪も黒いし。(笑)
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昨年の私のソロ演奏の様子です。もうすっかりご隠居モードになっていますねー。(笑)
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ということで、本日の午前中、老師に独奏の仕上げのチェックをしていただきました。演奏会が楽しみです。

今年使用する二胡。王根興師の製作です。
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弦はドイツ製のスティール弦を使用したこの製品。私が最も好きな音色が出せます。
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今年の琴弓は大分迷いました。40本のコレクションから選んだのは昨年とは違う琴弓です。
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北京の李懐剛の設計した琴弓です。この人は著名な琴弓作家の王小迪の師匠筋にも当たります。
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バランスがとても良い琴弓です。
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すべての倍音成分をバランスよく引き出してくれます。
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ロジンは、今年始めから色々と遍歴を重ねましたが、やはり演奏会になると私のベストワンチョイスである
デンマークのラーセンに、いつも回帰します。
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足台は、今年は骨董市で入手したこの花台。ちょっと大きいけれど使いやすいです。
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ということで、今年も演奏会へ向けての準備が整いました。

さて今日のお昼は、所用で出かけた東灘のJR摂津本山駅近くのカウンターだけのカフェで。
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この日替わりランチをいただきました。
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なんだか色々な小皿や小鉢が、次々といっぱい出て来ました。(笑)
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カフェのランチとしては優れものです。色々な味を楽しむことができました。うん、んまいー !
本日もごちそうさまでしたー。


人工島のフェスティバル

先週の日曜日に、大阪で開催された中国音楽フェスティバルに合奏出演したことはお伝えしましたが
私が師事している二胡の老師一門の、年に一回の発表会まで、あとちょうど3週間となりました。

発表会では合奏の他に独奏のステージもありますので、毎日の練習も最後の仕上げの時期になりました。
今年、私が演奏会の独奏用に取り組んでいるのは、劉天華 作曲の 「病中吟」
劉天華が20歳の1915年から構想をあたため始め、8年後の1923年に決定稿が完成したという曲です。
この「病中吟」というタイトルは、決して「病気にかかって呻吟している」という意味ではなく
当時の混乱した中国の社会状況と、それを憂う自己の深い心の悩みを表現したものと言われています。
劉天華は、他の曲も皆そうなのですが、なかなかに奥が深く、聴衆の方々と感動を共有できるまでには
単なる技巧を超えた、表現者としての力が試される曲だと思っています。
昨年の独奏曲も劉天華の「閑居吟」でしたので、この2年ほどは劉天華の魅力に取り憑かれて
ハマり込んでしまっていることになります。(笑)

昨年に引き続き、今年もこの二胡で弾きます。2009年の 王根興師製作「荷塘月色」
我が二胡と一緒に写真に映っているのは、製作していただいた、上海の巨匠、王根興師ご本人です。
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「病中吟」の五線譜版の楽譜です。
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二胡は、このような数字譜の楽譜を使います。大分楽譜への書き込みも増えてきました。
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発表会で使うピアノ伴奏のCDも、間際になってしまいましたが、やっと編集が終わりました。(笑)
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今年も発表会の日が楽しみです。


さて、ゴールデンウィークの2日目。よいお天気でした。
午前中、大阪の茨木にある女房殿の実家に寄った後、渋滞を避けて一般道でのんびりと帰ってきました。
帰宅後、夕方でしたが散策に出かけました。

私の住んでいる神戸の人工島には、約18,000人が人々が住んでいます。25年前にこの街が開かれて以来
毎年、ゴールデンウィークには新しくこの街に引っ越して来た人たちへの歓迎の気持ちを込めて
WELCOME FESTIVAL (ウェルカム フェスティバル)が2日間にわたって開催されます。
住民の約1割は外国人でもありますので、イースター(復活祭) のお祝いも兼ねたイベントとなります。

今年も、街の中心を流れる運河のある公園には、たくさんの屋台が並びました。
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いつも見る風景が、一変してお祭りモードになっていました。
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世界各国のB級グルメ が楽しめます。
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日本のB級グルメだって、もちろん負けてはいませんよ。(笑)
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ん、んまそうーっ !!
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この子は、トルコアイス を入れてもらって嬉しそう。
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運河の水面には、高層ビルと鯉のぼりの影 がゆらゆらと揺れていました。
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近くのウッドデッキの特設会場では、大学生のジャズバンド の生演奏が行われていました。
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みんな三々五々、階段に腰掛けて聞き入っていました。
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明日は、私もお昼はイワナの塩焼きに生ビールかな。(笑)


さてさて、本日の私の昼食です。(笑)
茨木からの帰り路、神戸へ通じる国道171号線の箕面の小野原にある、博多一風堂。
このラーメン店は、福岡に本拠を置き、日本全国のみならず世界展開もしている有名なお店なのです。

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女房殿が注文したのは、定番の「白丸元味」。細麺のまろやかコク豚骨です。
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私は季節限定メニューの、「鶏豚(とりとん)ソバ」。
鶏白湯スープと豚骨スープのコラボレーションです。白ご飯と温泉玉子のオプションがたったの40円。
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麺を食べ終わった残りのスープをご飯に乗せた温泉玉子の上にかけて、雑炊風にいただきました。
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あああーっ ! 何なのだこの絶妙の味の出合いは。ん、ん、んまーいっ !!
ああ、満足満足。本日もごちそうさまでした。
(いつも丑三つ時に見ていただく、グレムリンの八朔かーさん、ゴメンナサイ。笑)


琴首の美学

今日の神戸は寒の戻りなのか、肌寒く、時折雨模様のお天気でした。こんな日は家で引き籠もりです。(笑)
たまには、二胡のお話をします。今回は二胡の琴首の美しさについてお話ししたいと思います。

二胡の琴棹の上部、先っちょの部分は、琴首 または 琴頭 と呼ばれています。
二胡の三大名産地である、北京、上海、蘇州 では、長い歴史の中でそれぞれに見た目の特徴も
少しずつ異なる伝統の形が進化してきました。二胡の琴首にもその違いがよく見て取れます。

二胡の琴首の伝統的でかつ代表的なデザインである、月弯頭 (げつわんとう)
真上から見たら月のように見える牛骨細工の頭と、湾曲した首が特徴です。
現在、世界中で弾かれている二胡の殆どが、この琴首のデザインであると言っても過言ではありません。

左から、北京、上海、蘇州 の月弯頭です。微妙な違いがお判りになるでしょうか。
三首比較

北京は首が長く上海は月が扁平で蘇州は月が大きい
という伝統的な特徴の違いがあります。

次の3把の二胡は私が所蔵している、蘇州二胡2把と、蘇州二胡に近い琴首の形の江西省の二胡です。

無錫名人、萬其興(ばんきこう)製作の蘇州二胡。細工は牛骨ではなくすべて象牙を使用しています。
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同じく無錫名人の、陸林生(りくりんせい)製作の蘇州二胡。銀線細工を施しています。
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江西省の名人、辜存雄(こそんゆう)製作の二胡。琴首は蘇州に近いですが、シンプルに装飾を一切排しています。
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月弯頭の琴首に関しては、私自身はこれらの蘇州型のフォルムが一番気に入っています。

さて、このような代表的な月弯頭の琴首以外にも、長い歴史の中で様々な意匠の琴首が産み出されました。
私の所蔵している別の2把の二胡と二泉胡も独特の琴首デザインを採用しています。

上海の国宝級大師である王根興(おうこんこう)製作の二胡(右)と二泉胡(左)です。
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琴首のデザインは、1世紀前の中国の名文をモチーフにした荷塘月色(かとうげっしょく)
つまり、蓮の池と月明かり というテーマの彫刻です。
このデザインと彫刻は、王根興の直弟子で、伝統音楽研究家として著名な、沈正國(ちんしょうこく)師の
手によります。下の写真は、彫刻をする前の沈正國師自身のスケッチ画です。これは新しい意匠なのです。
ラフスケッチ


歴史が産み出した、デザイン琴首の代表的なもののひとつに、龍頭(りゅうとう)の琴首があります。

これは伝統的かつオーソドックスな龍頭のデザインです。非常に繊細で美しい彫刻です。
龍頭1

100年以上前の古楽器の龍頭。素朴なデザインですね。
龍頭古楽器1


他にも多くの琴首の形がありますので、少しご紹介したいと思います。

伝統的な模様である回紋頭(左)と、沈正國師が縁起の良い「吉祥図」を主題にデザインした祥雲海上(右)。
回頭紋

これも縁起物の鳳凰頭(左)と壽桃頭(右)。
壽桃1

これは武漢の名人、曾憲勇(そうけんゆう)の新デザインの優美な鳳凰頭です。
曾憲勇 意向鳳頭23

これらは2把ともに馬頭です。モンゴルの馬頭琴の影響があるかのも知れません。
馬頭1

巻書頭(左)と小提琴頭(右)。小提琴とは中国語でバイオリンのことです。
二胡はバイオリンより500年以上歴史が古いので、この巻書のデザインがシルクロードを経由して
ヨーロッパに伝わり、バイオリンのヘッドのデザインに影響を与えたかも知れませんね。
巻書1

如意頭(左)と蝙蝠(右)。仏具の如意棒やコウモリまでデザインされているのは驚きです。
如意頭1
【所蔵二胡以外の写真は、沈正國師と、台湾の名人、涂明順師のwebsiteよりお借りしました】


二胡は楽器であると同時に、このように伝統工芸品でもありますので、哀愁を帯びた音色以外にも
眼で楽しむという魅力があるのです。


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二胡はいいですねー。



花の窓

今日は春分の日。神戸は朝から薄曇り、午後から雨が降り出しました。
二胡のレッスンを受ける日でしたので、我が老師のレッスンルームの窓から向かい側の
教会を見ると、大きな桜の木の花が2分咲きぐらいでしょうか、開花していました。
我が家のある人工島の桜並木は、未だに開花していません。でももうすぐです。楽しみです。


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さて、「窓からの花」 で思い出しましたが、二胡の後部には「花窓」というものがついています。
「音窓」「琴窓」とも呼ばれています。

この「花窓」の形には、各種の紋様があります。中国の二胡の3大名産地である蘇州、上海、北京
のそれぞれで紋様に特色があります。
この花窓は単に美観のためだけではなく、音質を決める大切な部分となっていて、二胡特有の哀愁を帯びた
音色は、この花窓の存在が大きいとも言われていますが、「そんなの音には関係ねえー」と言われる専門家も
いらっしゃいます。(笑)
二胡を弾かれる方でも普段、花窓は気にもとめていない方が多いのではないかと思いますが
私は眺めていると、その土地の伝統みたいなものを感じて、結構この部分は気に入っています。
高級二胡は、この花窓をひとつずつ熟練の職人が、糸鋸で丁寧に透かし彫りにより作っていきます。


私が所有している「蘇州二胡」の花窓。蘇州二胡の伝統的な紋様です。
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これは私の「上海二胡」の花窓。これが上海二胡の伝統的紋様です。
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「北京二胡」の花窓。北京二胡の伝統的な花窓の形は、このように枠の部分しかついていません。
北京二胡1
【北京二胡を私は所有していませんので、お世話になっている「弦堂」さんのsiteより写真をお借りしました】

それぞれの産地の基本の伝統的紋様以外にも、独自の紋様もあります。

これも私の収蔵する「蘇州二胡」のひとつですが、象牙を使った透かし彫りの装飾が施されています。
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これは3大産地以外の、江西省の二胡です。新型二胡のために花窓のデザインも斬新です。
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二胡の花窓は、その他にも台湾二胡、武漢二胡などにかなり斬新な特色のあるものも存在します。

この花窓は、そもそもは、中国の家屋についていた花窓に由来しているのではないかと私は思っています。
特に二胡の名産地である蘇州には、そのような花窓のある建物が多くあります。

蘇州花窓5

蘇州花窓6

蘇州花窓3

蘇州花窓1

蘇州花窓2
                       【写真は、中国蘇州の観光紹介のsiteよりお借りしました】

どうです?  なかなかいい雰囲気を醸し出しているではありませんか。
二胡の花窓をじっと眺めていると、こんな風景が頭に浮かんでくるのです。


さて、今日は東灘の深江浜まで足を伸ばして最近できた王将へ。
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本日のランチは、ニラレバ炒めと焼き飯 でーす。
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たまに、王将の中華料理が無性に食べたくなる時があるんですよね。
本日も、んまかったー。 ごちそうさまでした。


伝統と革新

今日は二胡のお話をします。

不易流行(ふえきりゅうこう) という言葉があります。

この言葉は、俳聖・松尾芭蕉の言葉と伝えられています。
俳句は十七音という世界一短い詩形であるため、絶えず新しい句材を求め、絶えず新しさを追求して
行かなければ、陳腐に陥ってしまうということが「流行」の意味するところです。
「不易」は、俳句として存立し得る鉄則的な不変の条件、例えば五七五の十七音形とか、季語の存在や
その他のいくつかの原則を必ず維持して行くということを意味しています。

いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていく。
また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが、伝統が永く後世に伝えられる不易の本質であること。
ヘーゲルが弁証法を唱える1世紀以上前に、芭蕉は止揚(しよう=アウフヘーベン)の哲理を見い出したのです。

深い言葉です。私はケ・セラ・セラな人生を送っている者ですが、実はこの言葉が大好きです。

二胡にもこの「不易流行」が当てはまるのではないかと思っています。
いえ、二胡だけではなく、すべての楽器や音楽にも、人間の生き方にも当てはまるのではないでしょうか。

先日、二胡の女流名家の演奏家たちをご紹介しましたが、男性の二胡奏者にも名家と呼ばれている
方々が数多くいらっしゃいます。とても1回のブログではご紹介しきれないほどです。

そんな名家の中で、私が最も注目している奏者は「汝藝 (Ru Yi)」です。

汝藝2

彼は、私の中では新進気鋭の若手だというイメージが強かったのですが、いつのまにか不惑の年をとっくに
越えてベテランと言われる域に入ってきました。王國潼老師や王永徳老師などのそうそうたる名匠に師事し
現在では演奏・作曲活動だけではなく、上海音楽学院の二胡学科の教授も勤めています。

彼は、先ほどの「不易流行」 の人でもあります。
彼の二胡の伝統曲の演奏には、素晴らしいものがあります。情熱的な演奏スタイルから、驚くほど端正な
彼の世界観が反映された古典曲の解釈を、二胡の音色に乗せて紡ぎ出します。
また彼は、革新的な二胡奏者でもあります。北京オリンピックの開会式でも使用された、電子二胡を操って
自身の作曲による、素晴らしい現代音楽を私たちに聴かせてくれます。

汝藝1

本日のお土産は2つです。
汝藝師による 伝統と革新 を是非お聴きください。

「河南小曲」 演奏:汝藝  (← クリックするとYoutubeへ)

「FOLLOW ME TRY FEELING」 作曲・電子二胡演奏:汝藝 (← クリックするとYoutubeへ)


女流名家の系譜

本日は、二胡の女性演奏家のお話をしたいと思います。

私が生まれて初めて、二胡という楽器を購入してから、丸6年が過ぎました。
少年時代から、いくつかの弦楽器をやっていたこともあり、二胡を始めた当初は2本の弦しかない二胡を
少し甘く見ていたと思います。すぐに独学での練習が行き詰まってしまい、現在の老師の門を叩きました。

二胡を始めた一番の理由は、当時NHKの大河ドラマ「風林火山」のメインテーマ曲をチェンミンさんが
弾いていて、その音色にとても感動し、この曲を自分でも弾いてみたいと思ったことがきっかけでした。
現在の老師に師事して、2年後の発表会で念願の「風林火山」をステージで弾くことができました。
もう今では、その時のようには弾けなくなっているでしょうが、私にとって懐かしい思い出です。
そう言えば、この前後の時期にコンサートでチェンミンさんに握手していただいて、おじさんなりに
とっても感激したのを憶えています。(笑)

二胡の音色は、日本では毎日必ずと言っていいほど、どこかのTVCMやドラマの中で流れています。
哀愁を帯びた美しい二胡の音色は、本場の中国以上に、日本人の心象風景や美意識に合うのでしょう。

日本で二胡を学んでおられる方の、二胡への音楽的な嗜好は大きく2つに分かれるように思います
ひとつは、イージーリスニングやヒーリングミュージックのようなポピュラー音楽としての方向。
もうひとつは、中国伝統の古典音楽としての方向です。「風林火山」などはまさに前者に属します。

日本で活躍されて、CDなども数多く出されているプロ二胡演奏家は、大体、ポピュラー音楽系の方が
殆どであるように私は思っています。女性奏者では、チェンミン、ウェイウェイウーがその代表格です。

チェンミン
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【写真:2009年アルバムリリース記念のインタビュー記事siteより引用させていただきました】

ウェイウェイウー
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【写真:2009年コンサート情報のsiteより引用させていただきました】

日本と中国の二胡の歴史や音楽的な土壌の違いを考慮すると、むしろポピュラーミュージックとしての二胡が
入門者への間口を広げていることを考えれば、チェンミンやウェイウェイウーを始めとした中国出身で日本で
活躍されている二胡奏者の方々の功績は大きいと思います。

私も二胡を始めてしばらくは、ポピュラーミュージックを中心にレパートリーを増やしていました。
(もちろん我が老師は中国版の音大生が使用する教則本を使って、ビシバシとしごいてくれますが…笑)
しかし私はある時期からは、二胡の古典音楽の持つ味わいに傾倒するようになってきました。
日本人にとって二胡の古典音楽は、一見取っつきにくい感があるのも確かですが、やはり歴史や伝統や深さ
に大きな魅力を感じることもまた真実です。

中国の二胡の名手は、殆どが二胡古典音楽の超一流演奏家です。
それはやはり、各地の音楽大学に必ず二胡学科があるというような、伝統音楽の育成環境が、二胡演奏家の
層の厚さや質の高さを形成しているからだと言えます。

その中国で、女性二胡奏者の草分け的存在として日本でも有名なのが、閔惠芬(ミンホイフェン)師です。

閔惠芬(ミンホイフェン)
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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

彼女の、快弓の超絶技巧を一度見た人は、本当に呆気にとられると思います。

そして、二泉映月と小澤征爾とのエピーソードでも有名な姜建華師
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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

彼女たちに続く、若手3大演奏家として高く評価されたのが、この3人です。

宋飛(ソンフェイ)
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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

于紅梅(ユホンメイ)
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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

馬向華(マシャンホア)
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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

この3人のCDやDVD、Youtube映像などはもう、何回聴いたり見たりしたのか、数えきれないほどです。
かつて若手と言われていた、この3人も、最近ではもう大ベテランとしての円熟の域に入ってきました。

そして、私が今、中国で活躍する女性の若手二胡奏者として、最も注目しているのがこの人です。

楊雪(ヤンシュエ)
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楊雪L

楊雪2L
【以上の写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】

北京の中央音楽学院を卒業。在学中、著名二胡演奏家であり教育家の趙寒陽と厳潔敏に師事。
また、著名な王国潼、陳耀星、楊光熊、李恒、劉鉄山、徐振民等に、二胡、板胡、京胡、作曲を師事。
中国国内の数々のコンクールで優勝し、現在は海外からもソリストとして招かれています。
まさに女流名家の系譜に連なる経歴と実力を持った、若手二胡演奏家であるといえます。

私が昨年、劉天華の「閑居吟」を無伴奏で演奏した時には、彼女の演奏を何十回も見て練習しました。
もちろん彼女の演奏と、私の拙い演奏の間には、「月とスッポン」以上の違いがあります。(笑)

楊雪が演奏する、劉天華作曲「閑居吟」の無伴奏演奏を、ぜひお聴きいただきたいと思います。

劉天華作曲「閑居吟」演奏:楊雪 (←クリックでYoutubeへ飛びます)

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【写真:中国の紹介記事siteより引用させていただきました】


いやあ、二胡って本当にいいですよ。(笑)


太湖美

このブログでは、ときどき思い出したように二胡のお話をします。(笑)
昨日の日曜日は、午後から西宮市のある公民館の講堂をお借りして、我が二胡老師に学ぶ一門の方々が
集まって、合同の練習会がありました。関西一円の中国伝統楽器の愛好者たちを集めて、4月21日(日)に
「第3回中国音楽フェスティバル」が開催されるのに合わせた、合奏練習などをいたしました。

新年会以来、1ヶ月半ぶりに、いつも懇意にさせていただいている二胡弾き仲間の、お姉様方やお嬢様方と
お喋りもし、楽しい時間を過ごしました。

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                          我が収蔵の一把。萬其興 製作/銘名「金橋」二胡

今年の「中国音楽フェスティバル」では、我が老師率いる「江南春琴行」チームは30人を超える大合奏です。
1チーム10分以内の時間制限がありますので、今年の曲目は「早春賦」「夏は来ぬ」「里の秋」「冬景色」
「ふるさと」などの日本のメロディーをメドレー風に。そして最後に「太湖美」を演奏する予定です。

「太湖美」の「太湖(たいこ)」とは、中国の長江デルタに位置し、中国で3番目に大きく日本の琵琶湖と比べても
3倍以上の広さをもつ湖です。大運河ともつながり、多くの中小の河川が流れ込み、またここから蘇州を流れる
蘇州河や上海を流れる黄浦江などの多くの河川が発しています。ここは古来からの名勝地としても有名です。

その太湖のほとりにある都市、「無錫(むしゃく)市」は、蘇州二胡の名産地としても有名です。
上の写真の二胡を製作した、大師 萬其興の工房もこの無錫市にあります。
そして無錫は名曲「二泉映月」の作曲者である阿炳のふるさとでもあります。

太湖の風景
太湖

無錫市
無錫
                 【写真は中国の無錫観光案内websiteより引用させていただきました】

「太湖美」は無錫市の市歌ともなっており、二胡だけではなく笛子や歌曲としても演奏され愛されています。
「太湖美」は太湖の美しさを謳い上げた美しいメロディーと歌詞の曲なのですが、近年の太湖は蘇州や無錫に
多くの工業団地が作られて工場が進出し、急激な都市化・工業化が進んでおり、太湖水系の河川の汚染が
急速に進んでいるため、湖周辺の悪臭や水質汚染がきわめて深刻な問題となっていると聞きます。

本日のお土産は、「太湖美」のメロディーに乗せて、太湖周辺の名所の数々を紹介したビデオです。

「太湖美」 (←文字クリックでYoutubeへ飛びます)


太湖美楽譜

さてさて、私も練習しなくちゃ。(笑)


二泉映月

お正月明けに、二泉胡がやってきてから、早いものでもう1ヶ月半経ちました。
通常の二胡の練習に加えて、二泉胡の曲である「流波曲」や「二泉映月」といった名曲の
練習もボチボチとしていることは、以前このブログでもお話ししました。

我が二泉胡です。弾き込むことで、深い艶のあるいい音になってきました。
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「二泉映月」は、以前もご紹介しましたが、盲目の民間二胡奏者である阿炳(アービン、本名=華彦钧
1893-1950)によって作曲された、二胡の名曲中の名曲であることは、ご存知の方も多いと思います。

ご存知でない方のために、簡単にご紹介しておきます。
この曲は1950年に阿炳が亡くなる数ヶ月前に、音楽専門家によって奇跡的に録音・採譜されました。
彼の死後はあまり広く知られていませんでしたが、1978年に指揮者の小澤征爾が中国を訪問した際に
当時音大の学生であった姜建華(ジャン・ジェンホワ 現:北京中央音楽学院教授)の演奏する「二泉映月」
に深く感動しあの有名なタングルウッド音楽祭に彼女をソリストとして招いたことから、一躍世界に知られる
こととなった逸話のある曲で、聴く人を惹きつけ心を揺さぶる感動的な名曲です。

阿炳の故郷である無錫の西には、「唐代の茶神」と呼ばれた文人・陸羽により「天下第二泉」と
名付けられた名泉があります。

無錫郊外、錫惠公園の二泉
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この「二泉映月」は、35歳にして失明した阿炳が、若い頃に見たこの清らかな泉の水面に
煌々と映った月と、数奇な自らの人生を思い出しながら作った曲なのです。
自らが舐めてきた人生の辛酸への憤り、未来への憧れ、その想いを二本の弦と一本の弓に託して
語るように、訴えるように演奏する曲です。
心に思うがままに過去の記憶を投影させて奏でたので、元の曲名は『依心曲』というものでした。
しかし、あまりにも美しい曲なので、改名を薦められて現在の曲名である「二泉映月」に改めたと
言われています。今では二胡曲の最高傑作の一つとされ、二胡を独奏楽器として高めた不朽の名作です。
そして、中国近代音楽史上、最も貴重な遺産だとも言われています。
「二泉映月」はその後、阿炳の一生を描いた映画にもなり、唄も作られ、多くの人々から愛されています。

現代に出版された作品集にみる阿炳の容姿
アービン作品全集


無錫市の二泉映月広場にある阿炳像
アービン

同じく二泉映月広場の楽譜モニュメント
二泉楽譜
                 【写真参考 : 無錫市観光案内のwebsiteより引用させていただきました】


さて、私は「二泉映月」に限らず、二胡の古典作品を練習する時には、必ず編者の異なる何冊かの楽譜を
比べてみることにしています。編者によって弓法や解釈が異なっていたり、それ以前に、かの国の楽譜は
印刷・出版するプロセスでのケアレスミスによる間違い記述も結構な確率であるからです。

例えば「二泉映月」の例では

重さが、何と9kg以上もある二胡音楽の研究資料にある五線譜を確認。
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この資料には、殆どの古典曲の五線譜や伴奏譜が掲載されています。
さらに阿炳や劉天華などの本人の演奏による歴史的音像資料も聴けます。
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台湾の呂百理師の編著による数字譜を確認。
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上海二胡音楽界の大御所、王永徳師の編著による考級曲集の中の数字譜を確認
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考級曲集

と、こんな比較をしながら、自分がこれから弾き込んでいく楽譜を決めていきます。
「二泉映月」に関しては、真ん中の呂百理師の弓法が、私的には他のどの楽譜よりも解りやすかったため
この数字譜のコピーをスクラップブックに貼付けて、書き込みながら練習していくことにしました。

この阿炳の魂が凝縮された名曲は、なかなか表現するに一筋縄ではいけません。まだまだ修行が必要です。

本日のお土産は、学生の時に小沢征爾氏を唸らせたという姜建華師の現代の「二泉映月」演奏です。
この映像では、なんと小沢征爾氏がオーケストラの後席で、姜建華師を食い入るように見つめています。(笑)

姜建華 (CDジャケットより)。
姜建華
「二泉映月」演奏:姜建華 (←Youtubeへ)


現代の流行曲とは違って、二胡の古典曲は一見取っつきにくいのですが、しかし大変奥深い魅力があります。
お団子食べて遊んでばかりいないで、もっと勉強しなくちゃ…。(笑)


発見! 陳おじさん

陳宝田(ちんほうでん)師の琴弓は「陳氏二胡弓」として、中国でも日本でも高級弓のブランドとして
愛用されている二胡弾きの方も多いのではないでしょうか。私も二胡を始めた当初から愛用しています。
同じく高級品として著名な、王小迪師の琴弓と人気を分けているのではないでしょうか。

陳氏二胡弓には、どのグレードの琴弓にも陳宝田師の顔写真のシールが必ず貼ってあります。


陳氏二胡弓
chen bow

chen bow2

私はこのシールを見て、誠に失礼ながら、陳宝田師のイメージをケンタッキーフライドチキンの創始者の
カーネル・サンダースや、クッキーのステラおばさん、みたいな感じで思い描いておりました。(笑)

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もう引退しておられるが、伝説的なブランドの創始者として多くの愛好家から親しまれている
というようなイメージです。

陳宝田師は現在75歳で、中国音楽家協会二胡学会常務理事、元中国歌舞団の二胡奏者を長年つとめられ
最近では二胡改良家としても有名です。陳氏二胡弓はその二胡改良の一つの成果なのでしょう。
また師は、かつて国家元首が外国元首と会見した時、二胡奏者として天安門の紫禁城で演奏をし
また、外国訪問する国の指導者に同行して世界各地のステージにも立っていた方だと言われています。

先日、思いがけなくその陳宝田師が、実際に二胡の演奏をしている映像を発見してしまいました。
弾いているのは孫文明の名曲「流波曲」です。

陳宝田
「流波曲」演奏: 陳宝田 (←クリックすると動画サイトに飛びます)

陳宝田師の「流波曲」、さすがプロフェッショナルだけあって、なかなか聴かせます。
それにしても映像の中で使っておられる二泉胡は、琴筒と琴托と琴軸が象牙製ですね。(めちゃ高そう。笑)
千斤も糸ではなく、何やらご自身の発明品のようなものをつけておられますね。微調器付きでしょうか。
まさに二胡改良家の面目躍如といったところですね。

キューティクルの謎

二胡という楽器を構成しているハードウェアの中で、演奏するに際して最もデリケートなものは
「琴弓」だと私は思っています。
琴弓は常に松脂とセットで使用しますので、松脂の種類やつける量によって、弦の引っかかり感や
実際の二胡の音色にはかなり差異が表れます。それらを全て含めたフィーリングに対する演奏者の
好みは十人十色ですので、日々の松脂のメンテナンスに真剣に取り組むほどに、琴弓に対する扱いの
デリケートさを痛感している今日この頃です。

さて、琴弓に使われている馬尾には、人間の毛髪と同じようにキューティクルがあり
そこに松脂の粒子が付着すること、そしてキューティクルが摩耗してきたら馬尾の寿命と考えて
二胡の場合は、琴弓ごと新品に交換したほうがよい。
などと二胡の楽器店のHPなどでは説明されていることが多いと思います。

私も二胡を始めてから、40本以上の琴弓と20種類以上の松脂を購入して、試行錯誤で自分にベストの
フィーリングを追求してきたつもりですが、今ひとつ科学的に解明できずにモヤモヤとした気持ちを
感じていた部分があったのも事実です。

例えば、馬尾のキューティクルについても、ある研究熱心な二胡弾きの方が50倍の顕微鏡で覗いたところ
馬尾の表面はツルツルしていて、松脂の粒子しか見えなかったとブログに書いておられたりして
本当のところはどうなっているのか知りたいと常々考えておりました。

これは王小迪製作の張鋭師特注中胡弓です。
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馬尾は一般の二胡の琴弓よりも少し太いようです。
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普通のマクロレンズでの撮影はこれが限界です。上のスケールの目盛は0.5mm刻みです。
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ところが先日、あるバイオリン製作者の方のHPで、非常に興味深い記事を発見しました。
この方は、被写界深度の深いデジタルマイクロスコープを購入されて馬尾や松脂の状態を撮影されています。
通常の100倍程度の光学顕微鏡では見えないものが、1000倍の世界でははっきりと見えています。
ドイツ・バイオリン製作マイスターの佐々木 朗氏のご厚意に甘えて、貴重な写真を引用させていただいて
馬尾や松脂のミクロの世界を、ご紹介したいと思います。

新しい馬尾の表面には鱗状のキューティクルがはっきりと確認されます。馬尾の直径は0.2mm程度です。
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次の写真は、弓毛として使用して、キューティクルが摩耗してしまった状態です。
摩耗が進むと毛は切れてしまうそうです。
こういう状態になるのに、二胡の琴弓では、ある二胡製作者の方は700時間程度(1日2時間弾いて1年)とも
また別の方はよく弾いて4年とも言われており、実際どうなのかは私はまだよくわかりません。
1年よりはもう少し長くもつような気もしています。
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人間の毛髪は、馬尾より細いがキューティクルは大きいのがわかります。
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二胡弾きの方ならご存じのことですが、新しい馬尾はキューティクルがたくさんあっても、そのままでは
発音するための摩擦力が得られません。実際に弾いてみてもツルツル滑って音は全く出ません。
このキューティクルは摩擦力を得るための松脂の小さな粒子を、一定時間保持し続けるという重要な役割を
果たしているものと考えられます。


松脂を塗っていない馬尾の状態。この倍率(175倍)ではキューティクルは見えず、表面がツルツルに見えます。
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松脂をたくさん塗りすぎた状態。松脂の粉が馬尾の表面に保持できずに飛び散りやすい状態です。
馬尾に必要以上に多くの松脂の粒子が付着していると、松脂の粒子同士で滑ってしまうために
弦に対して大きな摩擦力が生まれません。
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松脂を適量に塗った状態。松脂はミラン社の定番松脂として有名な「クロネコ」です。
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松脂を適量に塗った状態。松脂は私が最も愛用している「ラーセン」です。
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「クロネコ」と「ラーセン」では松脂の粒子の大きさが全く異なります。
「クロネコ」の粒子が0.02〜0.06mmに対し、「ラーセン」は0.01〜0.02mm。

私が松脂に対して求めるフィーリングの3つの条件である

「粘度」サラサラだが粉があまり出ない
「弦のグリップ感」比較的強め、かつレスポンスが早い
「粒子感」クリーミィで滑らか


に、「ラーセン」が私的に最も適合していると感じる理由が少し分かったような気がします。

「ラーセン」デンマーク製
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写真を引用させていただいた、佐々木さんありがとうございました。
バイオリン同様、二胡の世界もとっても奥深いです。


葡萄熟了

過去に弾いたことがある二胡の楽譜のスクラップブックを整理していたら、懐かしい曲がありました。
「葡萄熟了」(pu tao chu le ぶどうじゅくりょう) 、「葡萄が熟した」という意味の楽曲です。

「葡萄熟了」数字譜
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「葡萄熟了」五線譜
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この曲がなぜ懐かしいかというと、2年ほど前、演奏会で弾こうと思い半年以上は毎日練習したからです。
仕上げの通し練習も200〜300回はやって、もう手が勝手に動くぐらいに弾き込みましたが、残念ながら
演奏会ではまだ披露できていません。伴奏CDを使う時に、この曲の最後のクライマックスの快弓の段の
♩=160のスピードが出せなかったからです。
まあ今にして思えば、この程度の練習ではまだまだ修行が足りないということですね。
大好きな曲の一つですので、いつかはリベンジしてやるぞと、ひそかに闘志を燃やしております。(笑)

この曲は、周維 (1961〜 )が新疆ウイグル族の音楽をもとに作曲した、非常に有名な二胡独奏曲です。
新疆ウイグル自治区の都市トルファンの人々が、葡萄の収穫の季節に歌を歌ったり、ダンスをしたりして
豊作を祝う光景を生き生きと描いています。

トルファンと言えば、西遊記に出てくる火焔山や、近くにあった古代都市「桜蘭」などで有名です。
子どもの頃、興奮して読んだスウェーデンの探検家スウェン・ヘディンの「さまよえる湖」の
ロプ湖があったのもこの辺りです。その後、湖の辺りは中国の核実験場となってしまいました。

西遊記に出てくる火焔山
葡萄熟了3

トルファンは葡萄の名産地です。
葡萄熟了2

葡萄熟了1
【写真参考 : 中国国家観光局のwebsite】

二胡の「胡」は「えびす」という意味であり、もともとは辺境の異民族を指します。
二胡の原型楽器は、唐代~宋代にシルクロードを経由して西方より伝来したと考えられています。
ですから二胡の音色と、シルクロードあたりの民族音楽の醸し出す雰囲気や香りは非常に良く合うのです。
ウイグル音楽から取材して作曲された、有名な「陽光照燿着塔什庫爾干」(タジクルガンに照る太陽)や
この「葡萄熟了」などが、まさにそんな曲だと思います。

本日のお土産は、作曲者である周維本人が弾く「葡萄熟了」です。

周維1
周維「葡萄熟了」 演奏:周維  (文字をクリックするとYouTubeへ飛びます)

流波曲

二泉胡がやってきてから、毎日、二泉胡用のいくつかの楽曲の練習もやっています。
その中のひとつが「流波曲」(りゅうはきょく)です。この曲は二胡の十大名曲の一つに数えられています。

この曲は二胡考級試験では9級の曲なのですが、例えば3級の曲である劉天華の「良宵」や4級の「光明行」
と比べても演奏のテクニック面ではさほど難しいとは感じない曲であります。むしろ易しいと思います。
敢えて難しい所を挙げるとすれば、内弦・外弦ともに第4ポジションを多用しますので、低音二胡である
二泉胡で高音域を長弓で美しく発音するためには、かなり弾き込んで感触を体得する必要があることです。
しかし、それよりもこの曲は実際の演奏において、作曲者の情念や内面性みたいなものをいかに表現できるか
という表現者としての力量が問われる曲なので、9級の難易度がついているのではないかと私は思っています。
王永徳師を始めとする上海学派の考級の難易度設定にはそういう傾向があるように感じられます。

「流波曲」五線譜
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「流波曲」数字譜
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この曲を作曲したのは、孫文明(1928年-1962年)です。1952年まだ24歳の時の作品です。
孫文明は、浙江省紹興出身で、4歳の時に天然痘の後遺症で両眼とも失明しました。12歳から二胡を習い始め
「二泉映月」を作曲した阿炳と同様に大道芸人として暗黒の旧社会において、阿炳と境遇の似た苦難に満ちた
流浪の生活をおくっていました。この曲は異郷での苦しい生活を描いた叙事詩となっています。

孫文明 (2000年に出版された孫文明記念専集CDの表紙より)
孫文明

もう100回を超えて弾き込んでいますが、なかなか孫文明の艱難辛苦の情念の世界まで到達できていません。
今後この「流波曲」を自分自身が納得のいく表現ができるまで弾き込んでいければと思っています。

本日のお土産は
伝説の二胡奏者と言われる、二胡大師 蕭白鏞(シャオ・バイヨン しょう・はくよう)の「流波曲」の演奏です。
上海民族楽団の主席二胡独奏者を長くつとめられ、70歳を過ぎた今も台湾を本拠地に活躍されています。

蕭白鏞 独奏「流波曲」(1985年録音)



控制墊の話

控制墊 (コンジーディエン)とは、二胡には必須の音質調整材のことです。
日本の楽器店で販売されているものは、控制綿 (コンジーミェン)という呼び名が多いようです。
この控制墊は、二胡の駒の下、弦と琴皮の間に挟みます。

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控制墊は様々な材質や形のものが販売されています。自分で材料を加工して作られる方も多いようです。


厚手の皮革                    羊毛の厚手のフェルト
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フェルトの中にスポンジを入れたもの        鹿革の中にスポンジを入れたもの
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カラフルな薄手のフェルト             カシミヤ製の布
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控制墊にこのように材質や形に種類があるのは、駒と同様に二胡の音質決定に深く関わっており
また二胡の弾き手一人ひとりにとっても、ベストな音質と感じるフィーリングが異なっているからです。

控制墊は雑音を軽減するためだけのものと、誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが
実は、二胡独特の美しい音を作り出すためにかなり重要な役割を果たしています。
二胡を始めた最初の頃、私自身が市販の控制墊の音質に納得がいかず、その仕組みを理解しようと
いろいろと試してみて解ったことがあります。

例えば、控制墊を外して内弦か外弦のどちらかを開放弦のままで弾くと、かなりにぎやかで金属的な音が
鳴り響きます。その時に弾いていない方の弦に左手でそっと触れると金属音が劇的になくなります。
これは一本の弦を弾いている時には、もう一方の弦も共振しているがために起こる現象です。
控制墊を駒の下に挟むことで、不必要な弦の共振を抑制する役目を果たしているのです。

また、同じように控制墊を外して内弦か外弦のどちらかを開放弦のままで弾いている時に、左手の指で
駒の周辺の皮にそっと触れると、一瞬で音がまろやかに変化します。
つまり、控制墊を外した状態の皮は、駒を中心に皮全体が目一杯振動しているために、全ての倍音成分が
前面に出てしまうことで大音量でかつ、かなり尖った音質となってしまうのですが、控制墊が皮の振動領域を
非対称形と変える役目を果たすことで、倍音成分を編集する形で音質を変化させているものと思われます。

ちなみに控制墊を外した時に、左手指で皮を強く押していくと、皮の振動そのものが抑えられすぎて
音量は小さく、音質もこもった感じのものになります。控制墊の面積や厚さが、皮や弦への圧力の大小に
関わってきます。総論としては弦はしっかり押さえ、皮はソフトに押さえる、がキーポイントかと。

また、同じ控制墊を使っていても、置く位置によって音質は変わります。駒にくっつけるようにすると
駒の振動も若干押さえられるので非常にまろやかですが少しこもった感じの音色になり、逆にテール部分に
近づければ弦や皮への圧力が増すと同時に、皮の振動領域も対称形に近づきますのでコントラストの
はっきりとした先鋭な音色に変化します。

このあたりは二胡を弾く各人が、その人なりにこだわって追求し調整すべき領域かと思います。

私も過去に、せっせと控制墊を自作して、いろいろと試行錯誤してみました。

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私は自分の控制墊の色を真紅と決めていますので、並べると真っ赤っかで目がチカチカしてしまいますが
いろいろな大きさ、厚さ、材質を組み合わせて試してみました。おかげで裁縫がとても上達しました。(笑)

現在、私の好みに最も合っている自家製の控制墊の仕様は、大きさ:30mmスクゥエアまたはラウンド
厚さ:8.5〜9.0mm です。厚さは駒の高さに依存します。ちなみに私の駒は9.2〜9.7mmです。

私の使用している材料と製作過程をご紹介しておきたいと思います。何かのご参考になれば幸いです。

外側の材料その1 : ハイミロン(表ナイロン100%裏ナイロン80%キュプラ20%) 
これは裁断しても、端がほつれない生地ですので大変便利です。
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外側の材料その2 : ちりめん。見栄えがなかなかいいので。(笑)
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中身の材料その1 : セーム革。カメラのレンズなどを拭くための製品です。弦をしっかり包み込みます。
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中身の材料その2 : メイクアップ用のスポンジ。きめ細かく柔らかいので皮にソフトタッチです。
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以上の材料を裁断します。セーム革は5枚使用します。(外側ハイミロンの例です)
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スポンジとセーム革は中に入れた時、ばらけないように糸でセンターをかがっておきます。
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あとは座布団を作る要領で、布を裏返した状態で周囲を2/3ほど縫っていき、表裏ひっくり返して
中身を入れた後、残りの周囲を内側にコの字縫いなどで縫い合わせて閉じれば完成です。
二胡に挟むときは、セーム革が弦、スポンジが皮側に来るようにします。

ラウンド型 (ちりめん)
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スクゥエア型 (ハイミロン)
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二胡の美しい音色は、二胡本体だけではなく、琴弓や松脂、駒や控制墊など多くのものがコラボして
紡ぎだされているものだと、最近つくづくと感じます。まあ、弾き手の腕が一番大事ですけれどね…。(笑)


二泉胡に合う弓

二泉胡がやってきてからは、とても面白いので二胡の練習前に毎日弾いています。
最近は、普段の基礎練習などは二泉胡でやっています。すっかり低音の魅力の虜になりました。

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二泉胡を弾き込んでいくうちに気づいたこともあります。
二泉胡は弦が二胡のものよりも太いので、高いポジションの音を美しくクリアに鳴らすのが
なかなか難しいのです。
第1、第2ポジションあたりだと、二胡と同じように普通に弾いても深い低音が
よく鳴ってくれるのですが、第3、第4ポジションあたりからは、例えば大人の男性が
無理やりソプラノの発声をしようとする時のような苦しげな音になります。
普通の二胡の場合でも内弦の第4ポジション以降の発音が少し苦しいのとよく似ています。

これを克服して高音域でいい音を出すには、それなりの弾き方を会得しなければならない
のですが、太っちょの二泉弦に機嫌良くプルプル震えてもらうためには、左手指の圧力を
変えてみたり、右手のボウイングのタッチを変えてみたりと、試行錯誤が続きます。
でも大分解ってきたような気がします。
また、二泉胡をきれいに鳴らす弾き方を毎日探っていると、そのことは結果として二胡の
音質向上にも繋がっていることに気がつきました。二泉胡は本当に勉強になりますね。

二泉胡を弾くための琴弓でもいろいろと試行錯誤してみました。
以前このブログでもご紹介しましたが、王小迪が90歳を過ぎた演奏家の張鋭師のために
特注製作した中胡弓もボリューム感のある発音が捨てがたいし、故蒋風之師の弓を復刻した
馬尾が200本しかない、か細い琴弓も、意外に二泉胡の高音域では透明感がある音だし…
などと迷っているうちに、本日、ニューフェイスの琴弓が2本我が家にやってきました。

ジャーーン !
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いきなり変な写真ですみません。(笑) 
ちょっとマクロ撮影の練習台にしてしまいましたが、今日、中国から届いた新しい琴弓です。

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北京の琴弓製作名人である李懐剛師が設計した琴弓です。李懐剛師は著名な女流の琴弓製作家の
王小迪師の師匠でもあり、70歳を過ぎた現在、彼の技術は娘婿である潘栄亮師に伝授されています。
この李懐剛師が設計した琴弓は王小迪師や陳宝田師の琴弓ほどメジャーではありませんが
実は、中国で著名な二胡演奏家である于紅梅、田再励や中央音楽学院学生などの多くがこの琴弓を
使用しているという情報を入手してから、私も是非試してみたいものだと思っておりました。

いつものように淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)を探しまわって見つけて、2本の琴弓が
運賃をケチったため、船便で1ヶ月近くかかって我が家にやってきました。(笑)

この弓の特徴はカーブを描く弓棹にあるそうです。先から根元までの湾曲は計算されたもので
特殊な技術でこの形になっており、右腕をオープンにした時に弓棹の弾力を失わないような
設計になっているということだそうです。
実際に二胡を弾いてみると、なるほど発音がすごく良く、弦を擦るときのタッチがシルキーと
言うのでしょうか、心地よいフィーリングです。しかし敏感です。右手のちょっとした動きに
反応して音質の変化になって表れます。面白いなー。この琴弓。でも上級者向けでしょうか。

二泉胡をこの琴弓で弾くと、発音が抜群に良いので低音域も高音域もきれいに鳴らせます。
ということで当面、仮採用ということで二泉胡の琴弓として使ってみようかと思っています。
何はともあれ、めでたしめでたし…と。


ふとバルコニーを見ると、アルミサッシに大胆にもへばりついてこちらを覗いている
雀たちと目が合いました。(笑)

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そうか、もう晩ご飯の時間か。催促かー。
それにしても増えたなー。300羽はいますね。たっぷりと太らせて、そのうちに…フフフ。


琴弦がつぶやく

今日は二胡弦(琴弦)のお話です。

二胡の弦には本当に多くの種類の製品があり、色々と弦を試してみようと思い始めると
そんなに毎日替えたりするものではありませんので、お気に入りの二胡弦の選定には
ある程度の時間もかかるし、比較に困ることが多いものです。

私もこの6年近く、結構な種類の二胡弦を取っ替え引っ替え試してみましたが
現在お気に入りとして常用しているのが、次の3種類の製品です。

中芸科技 FangFang SOLO 二胡弦

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中国芸術科学技術研究所(中芸科技)の弦設計師である朱鳳良氏が設計し
ドイツの有名なワイヤーメーカーであるROSLAU(レスロー社)に発注して製造された二胡弦です。
FangFangは青や赤などのパッケージが有名ですが、中でもこの頂級(最高)品質のSOLO弦は
選び抜かれた材質、優れた技術、クリアで優美な音色で、聴く人を魅了する非常に優れた弦です。
中国国内外のプロの奏者の要求を取り入れて作られました。
仕様は同じ中芸科技のゴールドパッケージsolo弦より少々太め、FangFang赤と同じです。

「少しでも雑な演奏なんかしたら、全部音に出しちゃうからね !」
と脅されているような、切れ味の鋭さを感じます。私の大好きな弦です。(笑)

トマスティック・インフェルド 二胡弦

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創立1919年のオーストリアのトマスティック社はバイオリンやギター弦の老舗メーカーです。
この会社が独自に開発した二胡弦は、、内外弦とも芯線は撚り合せたスティールでできており
A 弦は周りを錫でコーティング、D弦はクロム箔を巻きつけるという独自の設計です。
ウィーン風のバイオリンのような澄んでいて、かつ華やかで洗練された音を奏でます。
雑音が少なく安定しているので、コンサート時などのソロ演奏に向いていると思います。
歴史的実績のある弦メーカーの製品だけあって耐久性にも優れています。

弾くと、「二胡の音が哀愁を帯びているなんて、誰が言ったのよ ?」
と言われているような力強さ、華やかさ、明るさといったものをを感じます。(笑)
この弦も私は大好きであります。

中芸科技 二泉弦

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二泉弦はG-D、A-Eの2種類がありますが、二胡弦ほど種類は多くありませんので、
二胡弦で定評のあるメーカーのものをと考えて、G-Dはこの中芸科技の製品
A-Eは凱凱科技の製品を使用しています。どちらも中国メーカーが設計してドイツの
ROSLAU(レスロー社)に発注して製造された高品質の二泉弦です。


さて日本で現在販売されている二胡弦は、比較的種類が限られていますが
中国最大のオンラインショップである淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)などを
覗いてみると、実に多くの種類の二胡弦があることが判ります。

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無題

つい調子に乗って、並べてみましたが、まだまだキリがないのでこの辺で。(笑)

これらの二胡弦は、現地のディスカウント価格で1〜100人民元(現在1人民元=14円強)で
販売されています。ちなみに冒頭の私のお気に入り二胡弦は、ベストプライスの価格では
上から順に、それぞれ約70人民元、90人民元、30人民元ぐらいです。
中国国内でもかなりの高級品ですが、日本に輸入されるとさらに2〜3倍の価格になります。


以前どこかで、市販の二胡弦の成分を元素分析された方の記事を読ませていただいて
なるほどなー、と感心した記憶があります。
ちなみに、二胡とバイオリンのスティール弦の製造法は殆ど同じといってよいと思います。
そのスティール二胡弦の殆どは、外弦全体と内弦の芯部分はFe(鉄)99%前後の成分であり
それらの部分の残りの1%前後と、内弦の巻弦部分の成分を
Fe(鉄)、Ni(ニッケル) 、Mn (マンガン)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)
Mo(モリブデン)、Ag(銀)などの材料を使って、どのような割合で配分するかが
各メーカーの設計思想や販売戦略によって異なっているところだそうです。

一見、細い一本の裸線に見える外弦(A弦)も、ミクロではより細いスティールワイヤーを
螺旋状により合せて作られているものが殆どです。ここで技術の差が出ます。

内弦(D弦)に至っては、さらに複雑な構造となっています。

内弦(D弦)
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より合わされた芯線と同じ太さの巻線と、更に外側に平たい線があるのが判ると思います。
そしてなんと、それぞれの線が右巻き、左巻き、右巻きの仕様になっているのです。
この弦の直径はわずかに0.44mmです。まさにミクロの技術の粋ですね。

弦の材料として使用される金属によって、弦の音色は明らかに変わります。
それは金属というものは、それぞれ特有の比重と固さを持っているからです。
それに、さらに製造プロセスの技術や精度なども加味されて、弦の価格・音質・耐久性などが
最終的に決まってくるように思います。
現地価格で1〜100人民元(14〜1,400円)というもの凄い価格差には、それなりの意味が
あるのでしょう。


弦には「弦の3大要素」というものがあると言われています。

1.線密度(質量)
素材の比重が大きく、弦が重ければ重いほど弦の張力は強くなり、それに伴って音に張りが
出て高周波数の倍音成分が強く出るようになります。しかし弦の質量を重くし過ぎると
弦は下の二つの要素(均一性・柔軟性)が犠牲になってしまいます。

2.均一性
弦の各部位が均一でなくバラツキがあると、音を構成するの倍音の周波数に乱れが生じます。
例えば弦を442Hzにチューニングしても、2倍音が880Hzになってしまうと音程感が
損なわれてしまいます。これは「安かろう悪かろう」の弦を使ったときや、弦が古くなった
ときなどに起こり得ます。

3.柔軟性
仮に弦に柔軟性が全くないならば、倍音成分さえも出てこないのです。
すなわち弦が振動する時に発する豊かな音質は消滅しまいます。
例えばソリッドな金属棒を叩いたときに、豊かな音質感がないという感じと同じです。

そしてこれらの要素の判定は、楽器との相性や個人のフィーリングに大いに依存するという
点も、物事を複雑にしています。

理想的な弦は、上記の3大要素が必ずきちんと包含されていなければなりません。
しかしこの3大要素は、時に相反、相克するものでもありますので、バランス良く
最高の条件を満たす弦を作るということは、実は並大抵のことではないということなのです。

オットー社 Golden Lion 二胡弦

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実は、日本にはまだ輸入されていないようですが、中国国内で最近チラホラと見かける
気になっている二胡弦があります。トマスティック、ピラストロに続く外国製品ですが
OTTO社とは、1974年に設立されたドイツのバイオリン用品販売会社です。
当然ドイツ製スティール弦を使っていると思われますが、気になるポイントはその価格。
おそらく私が知る限り、ベストプライスで現地価格最高の、96人民元をつけています。
どんな音がするのでしょうか ? 気になる、気になる…(笑)


さてさて、一口に弦と言っても、様々な特徴を持った弦が、二胡弾きの多くのニーズに
応えるべく共存し、存在しているにもかかわらず、二胡弾きの欲求が尽きるということはなく
そして全ての欲求を満たす弦というのもありません。実に罪深き世界ですな。

「そんな戯言を言っていないで、さっさと練習しなさい ! 」
と、大人買いした FangFang SOLOたちが私に言っているようです。(笑)


二胡教則本の話

本日は、日頃レッスンなどでお世話になっている二胡教則本のお話を少し。
来月で二胡を始めてから丸6年になります。二胡を始めたきっかけはNHKの大河ドラマの
「風林火山」で流れるチェン・ミンさんのオープニングのテーマ曲がとても素晴らしく
私もこんな曲が弾けるようになったらいいな、と思ったことでした。
中学生の頃からいくつかの楽器をやってきましたが、二胡なら弦もたった2本しかないし
簡単に弾けるようになるだろうと、当時は完全にナメてかかっていました。(笑)
実際に二胡を購入して独学で弾き始めたのですが、音階は何とか弾けるようにはなったものの
そこから先はどうしようもなくなり、現在お世話になっている老師の門を叩いたという訳です。
どんな楽器でもやはりきちんと個人レッスンで教えていただくことは、上達には不可欠だと
思います。

我が老師のレッスンでは当初、北京の中央音楽学院の民族音楽学部 学部長として著名な
趙寒陽老師の基礎教程のテキストを主体として、1レッスンで練習曲を2〜4曲ずつ進めていき
約2年ほどで、このテキストを修了しました。

趙寒陽教則本

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このテキストはさすがに中国二胡教育界ナンバー1と評される趙寒陽老師により執筆された
というだけあって、これ以上分かり易く便利な二胡教則本は、他に類を見ないのでないかと
思います。
内容は、D調、G調、F調、C調などのやさしい基本演奏方法だけでなく、
慢弓(ゆっくり動作)、快弓(速い動作)、連弓(スラー)、頓弓(スタカート)、揉弦(ヴィブラート)
滑音、各種装飾音など、二胡の基本技能についての正しい演奏方法も丁寧に分かり易く
説明されています。この教則本を最後まで進めると、二胡考級の7級前後の楽曲が弾けるような
基礎技術が習得できるようになっています。(二胡考級は1〜10級まであり10級が最も難しい)
ただ当然ですが中国語での解説であることが、日本人にとって少々難点です。
しかし練習曲や楽曲を弾くことには何の問題もないと思います。

特に、基本的な技術を習得しないままで二胡を練習し、技能的に壁に突き当たってしまっている
二胡愛好者の方たちにとっては、福音となるような非常に素晴らしいテキストであると言えます。

【補足】2012年度版からは表紙が変更されています。
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我が老師のレッスンで、このテキストを修了した後に採用され、現在も使用しているのは
二胡演奏家として、また香港を中心に活動する二胡教育家として著名な、王國潼老師の
快速技巧練習のテキストです。

快弓本

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これは快弓(速い動作)の技術を上げるためのテキストなのですが、写真でもお判りのように
各調の第1ポジションから第5ポジションぐらいまでの半音刻みの換把練習が、これでもかと
いうぐらいに過酷に延々と続きます。しかも快弓でやれ ! と…。さすがに1回のレッスンで
練習曲1曲ずつしか進めていけませんので、いつになったら終わるのかと気が遠くなりました。
全くもってマゾヒスティックなテキストなのであります。(笑)
まあ私は、そういうストイックな練習は嫌いな方ではありませんので、ヒーハー言いつつも
やっているうちに、近頃やっと出口が見えてきました。
振り返ってみれば、この過酷な練習は結果的にずいぶんと役に立っているように思います。
どんな楽譜に対しても怖れることはなくなりました。
王國潼師と我が老師に感謝です。

レッスンでは、主となる教則本の他にも、同時並行で楽曲の練習用として、
日本で出版されている賈鵬芳(ジャー・パンファン)の教則本や曲集の中に採用されている
楽曲を毎回1〜2曲ずつ程度進めていきました。
その後、現在は上海音楽学院が採用する二胡考級曲集を最初から順番に弾いています。
また、自分のレパートリーとなる演奏会用の楽曲の指導も毎回していただいています。

ジャーパンファン教則本

ジャーパンファン曲集

考級曲集


まあ、このような濃いレッスンを毎回楽しんで受けさせていただいているというお話でした。

さてつい最近、二胡関係者の方だけではなく、他の楽器の関係者の方々からもブログなどで
絶賛されている二胡教則本が出版されていますので、是非ご紹介させていただきたいと
思います。

20130121二胡教則本
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二胡音楽の父、劉天華の孫弟子にあたり、上海音楽学院にて長く一流の二胡奏者たちの育成に
当たられた、張韶老師により1989年に出版されて以来、アジア地域で大ベストセラーとなった
「二胡広播教学講座」の日本語訳版である「張韶老師の二胡講座 上巻」が、それです。

二胡広播教学講座

底本となっている「二胡広播教学講座」は歴史ある、二胡弾きにとってのバイブル的な教本です。
300ページにも及ぶその内容は、『二胡』という楽器についてのあらゆる側面に触れています。
教則本というより、伝統音楽研究者にとっての文献的資料と言っても過言ではありません。

そのような名著を翻訳者の方が丁寧に日本語訳し、さらに現代の二胡音楽界の状況を踏まえて
詳細かつ膨大な注解を加えられています。
このような日本語の解説本は空前絶後ではないでしょうか。

実は昨日、我が老師に二胡を学んでいる一門の合同練習会と新年会が開催されたのですが
新年会での席上で、私がこの本について「現在日本で出版されている二胡教則本の5倍〜10倍
ぐらいの内容の濃さですよね」と老師に水を向けると、我が老師は「いや100倍です ! 」と
キッパリとおっしゃっておりました。(笑)

これは二胡弾きたる者の、必修本と言ってもいいのではないでしょうか。
下巻の出版も楽しみです。


二胡盒

二胡盒 (にこごう èrhúhé)とは中国語で、二胡ケースのことです。
日本ではこの言葉は全く使われていませんが、例えば中国のオンラインショッピング市場
として有名な淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)などで商品を検索する時に
「二胡盒 」と打ち込めば、何百個もの中国製二胡ケースがヒットしてきます。
二胡弾きの方は、ケースを探したい時など覚えておくと便利な中国語かもしれません。

さて、我が私設の二胡博物館には、現在14本の二胡ケースがあります。(笑)
二胡ケースは二胡の保管や運搬などには不可欠ですが、二胡と違って主役ではなく
どちらかと言うと「縁の下の力持ち」的なグッズなのではないでしょうか。

今日は私の所有する二胡ケースの中から、私自身がBest3と思っているものをご紹介しながら
その「縁の下の力持ち」に少しスポットライトを当てていきたいと思います。

中国 上海製 Neptune(海王星)810型二胡ケース

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琴弓を取り外して別に収納できます。
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湿度計もついています。
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二胡ケースには、中国製、台湾製、日本製のものがありますが、圧倒的に多いのが中国製
で、おそらく全体の9割を遥かに超えるシェアを誇っていると思われます。
その次が台湾製で、日本製は残念ながら私の知るところ、たった一つの製品しかありません。

しかし品質や耐久性を考えると、私的にはやはり日本製や台湾製に軍配が上がります。
特に長安楽器などの台湾製には優秀な製品が多く、新商品が発売されるとしばらくして
大陸で良く似た安価な類似商品が出回るというパターンが繰り返されているようです。
類似商品は、それなりの品質、耐久性に留まっているものが多いのではないでしょうか。

そういった現状の中で、この上海製のNeptune (ネプチューン)ブランドの製品は
デザイン、品質、耐久性ともに中国国内はおろか、世界トップクラスではないかと思います。
このブランドはサックスなどの金管楽器ケースも製造しているようです。

この製品は、私がこのブログでも度々引用させていただいている
『中乐图鉴』(ちゅうがくずかん=沈正國氏主宰の中国伝統楽器研究のwebsite)でも
二胡ケースの歴史に触れる中で、現代の最高レベルの二胡ケースとして紹介されています。

1950年代の二胡ケース(1-3番目の写真)と現代の二胡ケース(4番目の写真)
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写真参考: 中乐图鉴 (文字をクリックするとサイトに飛びます)

ただ、この素晴らしい製品は日本で販売されていないことと、価格が高いのが難点です。
例えば日本で3万円前後で販売されている比較的高級な中国製二胡ケースは、その殆どが
淘宝網などで見られる中国国内の一般価格では、500〜700人民元(約7,500〜10,500円)
なのですが、この二胡ケースは現地価格でその3倍程度で、一般家庭の月収に相当します。
中国で一般的に購入される二胡ケースが30〜200人民元(450〜3,000円)であることを
考えれば、如何ほどのレベルかはお判りいただけると思います。

なお、このケースは現在中国国内でも稀にしか販売されているのを見ることがなく
入手はかなり難しいかも知れません。その代わりということではないですが
同ブランドで若干価格的に求めやすくなった同タイプのケースをよく見ます。
私も色違いで2つ入手しましたが、内部仕様は同じで品質や耐久性は全く変わりません。
表面素材の撥水性がより高くなり、TSAロックもついて、むしろ進化したのかも知れません。

中国 上海製 Neptune(海王星)YZ017型二胡ケース

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余談ですが私は、ケースや弓、弦などは、日本では中国国内の現地価格の数倍の売値と
なっていることが多いため、個人輸入代行に依頼して中国からまとめ買いすることが多いです。
(しかし日本での販売価格も、結局は諸々の輸入コストや中国からの輸入リスク、利益などを
考慮すると、まあ妥当な価格であると言えなくもないのではないかとは思っておりますが。
中には時々、えーっ? と感じてしまう業者の方も…。)


にちわ楽器(日本和楽器製造)の二胡ケース

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これが私の知るところ唯一の、日本製二胡ケースです。
私は保管時に琴弓を取り外すため、琴弓がケース内で二胡に干渉して松脂が付かないよう
琴弓が固定されて収納できるケースしか使用しませんが、そのようなケースを探していた所
青森市の津軽三味線用品を販売しているショップでこのケースを見つけました。
おそらく三味線ケースのノウハウを、二胡に応用したものと思われますが
地味な感じながら細部に至るまでの造りは、さすがにmade in Japanの高品質です。
この製品は価格も手頃ですので、コストパフォーマンスの非常に高い製品である思います。
現在は上記の製造元の「にちわ楽器」のウェブサイトでも入手可能です。


USA ゼロハリバートンの二胡ケース

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二胡を2把と琴弓2本を収納できるいいケースで、中々気に入ったものがなかったために
他の用途のケースで二胡に流用できるものはないかと、あちこち探していましたところ
これを見つけました。独自の技術によるアルミ鍛造製です。滑らかなカーブが綺麗です。
これはビジネスマンの方なら、アタッシェケースなどでお馴染みのゼロハリバートンです。
そしてこれの本来の用途は、ショットガン(散弾銃)などを収納するためのガンケースなのです。

二胡を立てて2把収納するのにベストのサイズでしたので、購入して低反発ウレタン素材と
フェイクファーを二胡の形に合わせて加工し、出来たユニットを嵌め込んで自作しました。
このケースの最大の利点は、ロックすると完全に湿気をシャットアウトすることです。
日本では中々手に入りませんので、北米の知人を介して個人輸入しました。
まあ、値段は「言わぬが花」かも知れませんね。(笑)

アタッシェケースの場合は、よく傷だらけのボコボコにして使っておられる方を
お見受けします。それはそれでビジネスマンの勲章のようなものなのでしょうが
私は、ボコボコにする勇気がありませんでしたので、牛革を片身半頭分買ってきて
型紙を当てて採寸し、手縫いでこのケース専用のボディスーツを作成しました。
擦り傷などを防げますので、これを持っての外出時には大変重宝しています。

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でも、このケースは「縁の下の力持ち」のくせに結構重いのですヨ。(泣)


ミュート

本日は二胡の便利なアクセサリーについてのお話です。
二胡を初めて弾かれた方や、生で聴かれた方は、意外にその音量が大きいのに驚かれます。
練習時など周囲の迷惑とならないように、二胡を弾く環境確保に苦心されている方も
多いのではないかと思います。

そこで大いに役立つのが、ミュート (弱音器)です。
私も家人が休んでいる時や夜間の練習時には、いつも重宝させていただいています。

市販されているミュートには色々な製品がありますが、大別すると3タイプに分類されます。

最初のタイプは下の写真のような形に削りだした木の塊に、薄い板を取り付け
木塊と薄板の間のスリットに2本の弦を挟み込んで、駒の上にセットするタイプです。

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このタイプのものは私もいくつか実際に試してみましたが
二胡の音量は半分以上小さくなるように思われます。
3タイプの中でも弱音効果が大きいと言えます。音程もほとんど変わりません。
欠点はビビリ音が発生すること、長く弾いていると弦の振動で動いて外れてしまうことです。


2番目のタイプは、洗濯バサミのように上から駒を挟み込むものです。

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このタイプのものも音程が殆ど変わらずにミュートできる優れものです。
音量の減少は半分までぐらいでしょうか。雑音となる振動も抑えてくれるようで
小さい音量ながら、雑音のない結構クリアな美しい音質になりますので
このミュートを使うと、なんだか自分が上手くなったような錯覚に陥ります。(笑)
弱音度合いと音質の良さを考えれば、このタイプはなかなか良い選択です。
私はこのタイプに出会ってからは、ずっと愛用しております。

あえて欠点を言えば、金属でバネが強力ですので駒などを傷つけないか心配なことです。
それで私は、駒を挟み込む部分を熱収縮チューブでコーティング加工して使用しています。

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この製品は、台湾唐克楽器が「黒胡蝶」という製品名で特許を取得しています。
最近、大陸製の類似商品が安価で流通していますが、板バネ部分の耐久性という点では
台湾製の純正品がとても優れていて、コストパフォーマンスの点で軍配が上がると思います。
もちろん日本国内でも購入できます。

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ここで余談ですが、このタイプの原理を応用すれば、大きな洗濯バサミ形状のものであれば
同じ効果が得られます。下の写真はホームセンターで入手できる「ミニクランプ」です。

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この場合は、駒をサイドから挟み込みます。ミュート効果は「黒胡蝶」と同じぐらいです。

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このような使い方をすれば、さらにミュート効果は上がります。カッコ悪いですけど。(笑)

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さて3つ目のタイプのミュートです。このタイプは弦と皮の間に挟み込んで使用します。
市販の製品は結構たくさんのものがあります。このタイプは二胡に限らず三味線などでも
使われていて、「忍び駒」という名で呼ばれています。なかなか雰囲気のある名ですね。

三味線の「忍び駒」
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三味線での使用例
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二胡用の「忍び駒」タイプのミュート
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この「忍び駒」タイプもミュート効果はかなり優れています。
ただ欠点は、音程を変えずに使うならば、本来の駒を外してしまわなければならないことです。
もちろん駒の上部に差し込んで使用することもできますが、その場合は音程が高くなります。

このタイプは構造上、弦の振動を琴胴と皮全体に分散させることでミュート効果を得ています。
そこで私は、この「忍び駒」を本来のミュートのためではなく、二胡の保管時の皮の保護
という目的で、大変重宝して使用させていただいています。
私は、二胡に触れる頻度が結構多いこともあり、二胡を始めて以来、普段は弦を緩めたことは
ありません。弦を張ったまま何もせずに保管しますと、駒にかかる圧力で皮が変形して
弛んできますので、駒よりも若干高さがあり琴胴の幅より少し大きい「忍び駒」を自作して
保管時の弦の圧力の殆どを琴胴の縁で受け、皮に圧力がかからないようにしています。

ウェンジュと象牙で自作した「忍び駒」
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二胡保管時の状態
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おかげでどの二胡も皮の状態はいつもベストをキープできています。


スネークウッドと象牙の「忍び駒」製作過程大公開
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完成でーす。星三つ ! (笑)
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いやあ、二胡は色々と楽しめていいですね。(笑)


二泉胡がやってきた

2日ほど前、私の私設の二胡博物館に新しい二胡が仲間入りしました。(笑)
私の8把目となる二胡は、二泉胡 (にせんこ=低音二胡)です。
材質は真直ぐに間隔の詰まった綺麗な杢目で、木密度も高くよく熟成した経年老紅木です。

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普通の二胡と比較してみると、右の二泉胡の方が少しだけ琴胴が大きいのがわかります。
体積にすると30〜40%は大きいと思われます。これは低音をよく響かせるためです。

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この二泉胡は、以前このブログでご紹介したこともありますが
上海の人間国宝級の巨匠「王根興」(おう こんこう)の作品です。
師も今年78歳となり、もうほとんど二胡の製作をしていないとも聞いています。
彼が23歳で立ち上げ、中国でも有数の民族楽器工場に育て上げた上海民族第一楽器廠で
師の技のレシピを受け継いで弟子たちが作り、王根興のブランド名で世に出している
二胡はたくさんあると思いますが、彼が手ずから製作した二胡は大変な稀少価値がありますので
中国や台湾を含めて、現状で伝統楽器の市場に出回っている数は微々たるものと考えられます。

余談ですが、師の一番愛弟子として既に独立して中国初の女流巨匠と評され、日本でも
プロ演奏家のチェン・ミンを始め、その製作した二胡のファンの方たちが多いのが、
有名な「胡涵柔」(こ かんじゅう)です。彼女は王根興の技の遺伝子を受け継ぎ
それを彼女自身の感性で深化させたような素晴らしい二胡を作ります。

ともあれ私は、二泉胡でしか弾けない曲がいくつか弾きたかったという想いも手伝い
この数年で確実に入手困難になっていくであろう、王根興師の自ら製作した二泉胡を
今回思い切って購入したというわけです。

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「王根興」の刻印とともに、琴胴上部に「納音」の刻印。あとでお話ししますがこの二泉胡は
特別にデザインされたもので、「納音」はデザイン設計をした「沈正國」の号です。

王根興師
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『中乐图鉴』沈正國氏主宰の中国伝統楽器研究のwebsiteより

王根興師の紹介動画(10年前の映像)
(文字をクリックするとYouTubeに飛び動画が再生されます。職場などでご覧の方はご注意を。)
王根興師の皮張り実演動画
(台湾の百楽琴苑という楽器店のサイトにリンクしています。これは大変貴重な動画だと思います。)

2003年上海民族第一楽器廠では、既に楽器廠を定年退職していた王根興師に特別に依頼をして
明清時代の紫檀の家具材を使った10本限定の「流水琴首」というデザイン二胡を世に出しました。
この二胡は、当時の上海の一般家庭の年収に相当するぐらいの価格でした。

王根興作「流水琴首」
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【写真参考:『中乐图鉴』】

その後王根興師は2009年、自ら独自に彼の弟子である中国伝統楽器研究家の「沈正國」とともに、
中国の様々な伝統文化をモチーフに現代の二胡をデザインした限定版の二胡製作を開始しました。
それが、いま私の手元にもある2把の二胡と二泉胡です。
師は自らの技の集大成として、それらの製作に力を込められたのではないかと私は思っています。

自ら製作した荷塘月色二胡を手に (台湾 長安楽器にて)
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【写真参考:『中乐图鉴』】

この二泉胡は、以前もこのブログでご紹介したことのある、私の所有する虎紋木二胡と同じ
2009年版の特別なデザインで、「朱自清」という詩人による有名な散文のテーマである
『荷塘月色』(かとうげっしょく=「蓮の池の月の光」という意味)を琴頭に採用しています。

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虎紋木二胡と比べても、一本一本手作りのために彫刻された細部が違っています。

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二泉胡は普通の二胡より、5度前後低いチューニングとなります。弦もG-D、A-Eなど
チューニングに合わせた専用弦となります。(二胡はD-A)

二胡の曲を二泉胡で弾くと、ズーンと胸に響く何とも言えぬ心地よい低音の魅力が炸裂します。
何だか自分がフランク永井になってしまったようないい気分です。(古ーっ。年がバレバレ。笑)

二泉胡のためのソロの楽曲は数が少ないのですが、著名な曲としては二泉胡の名の由来となった
「二泉映月」を始めとして、「寒春風曲」「流波曲」などの名曲があります。

中でも盲目の大道奏者、阿炳(アービン、本名=華彦钧 1893-1950)が作曲した「二泉映月」は
阿炳の死後あまり広く知られていませんでしたが、1978年に小澤征爾が中国を訪問した際、
姜建華(現:北京中央音楽学院教授)の演奏する「二泉映月」に深く感動し、
あの有名なタングルウッド音楽祭に彼女をソリストとして招いたことから、一躍世界に知られる
こととなった逸話のある曲で、聴く人を惹きつけ心を揺さぶる感動的な名曲です。

阿炳の故郷である無錫の西には、「唐代の茶神」と呼ばれた文人・陸羽により「天下第二泉」と
名付けられた名泉があります。

無錫郊外、錫惠公園の二泉
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「二泉映月」は、35歳にして失明した阿炳が、若い頃に見たこの清らかな泉の水面に
煌々と映った月と、数奇な自らの人生を思い出しながら作った曲なのです。
自らが舐めてきた人生の辛酸への憤り、未来への憧れ、その想いを二本の弦と一本の弓に託して
語るように、訴えるように演奏する曲です。
心に思うがままに過去の記憶を投影させて奏でたので、元の曲名は『依心曲』というものでした。
しかし、あまりにも美しい曲なので、改名を薦められて現在の曲名である「二泉映月」に改めたと
言われています。

今では二胡曲の最高傑作の一つとされ、二胡を独奏楽器として高めた不朽の名作です。
そして、中国近代音楽史上、最も貴重な遺産だとも言われています。

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数奇な一生を辿った阿炳ですが、生涯に作曲した曲は200曲を超えると言われています。
しかし、彼が亡くなる数ヶ月前、阿炳の噂を聞いて駆けつけた、当時天津にあった
中央音楽学院(現在は北京)の教授たちが、まさに没年となる1950年に奇跡的に採録に成功した
わずか6曲だけを除いて、他の全ての曲は、彼の死とともに失われてしまいました。
その6曲の阿炳の歴史的な演奏は、今でも貴重な遺産として後世の私たちに伝えられています。

阿炳の故郷である無錫市内の阿炳銅像
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二胡弾きなら一度は弾いてみたい、いや弾けるようになりたい「二泉映月」。
それから私の大好きな「流波曲」。
これらの二泉胡の名曲にも、今年はチャレンジしてみたいと思います。


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二泉映月 (文字をクリックするとYouTubeに飛んで演奏が始まります)
流波曲 (文字をクリックするとYouTubeに飛んで演奏が始まります)

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
本日のお土産は日本で活躍されている二胡奏者、王霄峰 (ワン・シャオフォン)さんの
「二泉映月」と「流波曲」の無伴奏独奏です。どうぞご堪能あれ。

ミクロの合わせ技

本日は二胡の調弦のお話です。
調弦は、弦楽器の奏者にとっては基本中の基本です。
私がまだ学生の頃は、A音の音叉を耳の後ろにあてて楽器を調弦したものですが
現在はクロマティック・チューナーという便利な機器がありますので、
誰でも調弦が随分と楽にできるようになりました。

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最近はiphoneやスマートフォン用のチューナーアプリもあります。
うっかりチューナーを忘れた時など、私もかなり重宝しています。

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さて本題の二胡の調弦ですが、
二胡を始めたばかりの人にとっては、この調弦はかなり難しい事と感じられるようです。
それには理由があります。

2本の弦を巻き付ける琴軸(糸巻き)というものが、二胡にはついています。
この琴軸の弦を巻き付ける部分の直径は、どの二胡もほぼ10mmです。

紫檀转丝二胡轴新1

従って琴軸が一回転すると、円周の31.4mm分、弦が引っ張られるということになります。
一方、内弦と外弦がDとAにほぼ調弦されている状態で、音を半音上げるためには
たった1〜2mm前後の長さを琴軸で巻き上げればよいと言われています。

半音というのは、チューナーの目盛でいうと左端から右端までの幅に相当し
これを一般的に100CENT(セント)という単位で表します。
ついでにご説明しておきますと
クロマティック・チューナーでは合わせたい基音が目盛の中央に位置し
上下50セントずつのズレを計測できます。ズレが50セントを超えた場合は
次の半音が自動的に基音として採用されるという仕組みになっています。
目盛上の三角のくさび形の印にも、ちゃんとした意味があるのですが
音階や和音や、平均律や純正律の話をすると長くなりますので、またの機会に。

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実際に調弦をする時には、ピッタリと目盛の真ん中に1セントのズレもなく合わないと
上部にある緑色のランプが常時点灯しませんので、皆さん苦労して合わせるわけです。
しかしながら、例えば外弦の1セントの誤差というのは、琴軸の巻き上げ距離でいうと
仮に半音分の巻き上げを2mmとしても、2mm×1/100=0.02mmということになりますから
緑のランプを常時点灯させるということは五十分の一ミリ (=20μ)のミクロの世界の長さを
琴軸を人間の手で回して動かして微調整するという、超職人技が必要になるということです。
勿論、チューナーにもそれほど計測感度の良くないものも結構ありますし
合わせる方も普通は疲れてテキトーなところで妥協してしまうでしょう。

話が少し脇道に逸れますが、日本のある高級二胡販売サイトに、無錫の二胡製作大師の陸林生と
娘の陸林藝、婿の卒春洪 (彼らもすでに陸翁の後継者として名人と評されている)が見ている前で
娘夫婦の息子とおぼしき青年(つまり陸翁の孫)が、何やら雑談を交わしながら祖父や母の製作した
二胡の試奏をしているという動画がいくつかありました。
その青年は絶対音感に優れているのか、チャッチャッ、チョチョイのチョイと琴軸や千斤を動かして
チューナーなどもなしで、ほんの数秒で調弦して、いくつかの曲を試奏してみせるのですが
それがまた、かなり上手くて音程も音質も素晴らしいのです。
調弦を見ていて、こいつカッコいいなぁ、と感心する反面、二胡って実は結構アバウトでアナログで
演奏者の技量次第でいかようにも名演奏が紡ぎだせる、という世界なのかもしれないなぁ、などと
思ってみたりもしました。つまり、「弘法筆を選ばず」みたいなことでしょうか。
空海ご本人は、「良工はまずその刀を利(と)くし、能書は必ず好筆を用う」ということも
おっしゃっています。ですから「弘法筆を選ばず」には逆説的な真理が隠されていると思います。
技に優れた者はそうでない者より、たとえどんな道具を使っても常に上手である。
しかし技に優れた者に、良い道具が不必要だということはない。むしろ必要。「鬼に金棒」となる。
この真理を自分の側に引き寄せて解釈すると、たとえ良い楽器や道具を手に入れたとしても
それだけで直ちに上手くなるわけではない。技を磨かなければ。という私への戒めですね。(笑)

脇道どころか、かなり脱線してしまいました。
まあ、素人離れした超絶技を持つ人々のお話はさておき、調弦の話に戻りますと
仮に5セントのズレの調弦で妥協するにしても、二十分の一ミリの技の世界なのであります。

琴軸は琴棹の穴に刺さっているだけですので、弦が勝手に巻き戻らないようにロジンを塗るなど
ある程度、摩擦係数を高めることで止まっています。
ですから、ほんのちょっと回転させようと思っても、クリッと1mm以上動いてしまうことなど
日常茶飯事です。つまり必要な長さの何十倍も動いてしまうのです。
このことが初心、初級の方にとって、二胡の調弦を難しいものにしているのです。
勿論、めげずに頑張って調弦していると、ミクロを当てるコツがつかめて上達はしていきます。

伝統的な琴軸に改良を加えたギア式の琴軸もあります。調弦は比較的ラクです。
プロも使っていますが、見た目が伝統的な形とは違う点で、好みが分かれるところです。

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この大変な調弦を楽にしてくれるツールとして、微調器 (アジャスター)というものが
あります。様々なタイプのものが販売されていて、一応、殆ど全てのタイプのものは
いつもの悪いクセで、購入して実際に試してみました。(笑)

分数サイズのバイオリンのE線にも使われるタイプのものです。
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ネジが少し大きくてまわしやすいタイプ。
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微調器つきの紫檀製の千斤です。千斤のかわりにこれを琴棹に取り付けます。ゴツいなあ。
試しに取り付けてみましたが、金属系の雑音がとれなくて、即お蔵入りしました。(泣)
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2つ分の微調器を分解してコンパクトに1つにまとめて、私が自作したもの。紫檀製です。
これは結構長い間、実際に使っていました。
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微調器はこのように取り付けます。
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これらの微調器のいいところは、ネジを半回転させて弦が動く長さが0.2〜0.3mmぐらい
ですので、本当にラクに調弦の微調整ができるというところにあります。
プロの演奏家、例えば于紅梅などもバイオリンタイプのものを愛用しているようです。

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これらには欠点もあります。それはある狭い範囲で弦に変形する力を加えますので
弦が傷みやすいということです。また弦に異物をぶら下げることで倍音構成にも
影響して、わずかに音質が変化するようです。

私自身は、例によって色々と試行錯誤した結果、現在は糸を使った微調整をしています。

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内弦、外弦それぞれに糸を、弦を少し引っ張った状態で架けて、それらを上下に動かすことで
調弦の微調整をします。弦に優しく、音質にも殆ど影響がありません。
単純に糸を輪にして弦と琴棹に架けて結ぶだけというのが、昔から行われていた方法ですが
糸が琴棹によりしっかりと安定するように、さらに私なりの糸の架け方を工夫してみました。

わかりやすいように太い紐で架け方を示してみましたが、うーん解りにくいかもしれません。
左端に弦が通って、中央のダブルループに琴棹が通るイメージです。
もし興味がおありの方は、ご連絡いただければ糸をラクに架ける裏技をお教えします。
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私の好きなプロ演奏家で、上海音楽学院の教授でもある汝藝 (Ru Yi)も
この糸を使った方法を採用しています。

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汝藝演奏 劉天華『閑居吟』
(文字をクリックするとYouTubeに飛び演奏が始まります。職場などでご覧の方はご注意を。笑)

この汝藝老師が無伴奏で奏でる、劉天華の閑居吟はとてもスゴいです。

調弦一つとっても、いろいろと手のかかる楽器なのではありますが
いやあ二胡って本当にいいですね。(笑)


新しい松脂

まだ見ぬ素晴らしい松脂との出会いに期待して(性懲りもなく…)
バイオリンを弾く方々のWebサイトなどで、時々話題になることがある松脂を
2種類購入して試してみることにしました。

「Jade (ジャダ)」(フランス製)

「黒猫」という愛称で有名な定番松脂を造っている、フランスのミラン社製です。
英語読みでは「ジェイド」ですが、翡翠の色に似ているからこの名がついたのか
商品名を考えてから、それらしい緑色にしたのかは定かではないのですが
まあとにかく抹茶ういろうみたいな、今までにない珍しい色の松脂なのであります。(笑)

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この松脂のユーザーからの口コミ評判には
「比較的柔らかく弓に着きやすく塗りやすい」
「気をつけないと塗りすぎることもある」
「ベタつかずサラサラしている」
「サラッとしているが弦への食いつきはよい」
などがありまして
サラサラ感とグリップ感の両立を求める私としては、ちょっと気になって購入したわけです。

実際に使用してみた感想は、なるほどサラサラ感もグリップ感も適度にいいバランスで
両立していると感じました。音の立ち上がりもガツンという食いつきではなくソフトです。
それよりもこの松脂の特徴として最も私が感じたのは、音に含まれる高い周波数の倍音成分が
マスキングされて、主音を中心とした周波数の倍音成分が際立って聴こえるような印象が
あるということです。
つまり、例えばA(440Hz)であれば、整数倍の周波数(440,880,1320,1760,2200,2640,…)
の倍音成分のうち、人間の可聴領域である20000Hzぐらいまでの成分がミキシングされた音が
私たちに実際に聞こえてくるAの音です。そのミキシングのバランスによって音質は変わります。
アンプなどのイコライザで例えると、trebleを上げると音の抜けがよくなるが上げすぎると
キンキンする、bassを上げると音が太くなるが上げすぎるとこもった音になる、のような関係です。
この松脂は高い方の倍音成分を幾分抑えることで、角の取れたまろやかな音質となっています。

一方、私が日頃よく好んで使う音質表現に「クリアな」とか「よく通る」などがありますが
この場合はどちらかと言うと、高い方の倍音成分が強調されたミキシングであると思っています。
「Jade」はいい松脂ですが、私的には少し微妙かなと感じました。あくまでも「好み」の問題です。

この「Jade」は尖った雑音も抑えるような感じもありますので、角が取れていない新しい楽器や
「サラサラ」「程よい食いつき」「マイルドな音質」を求める方には最適かと思います。


「Laubach Gold (ラウバッハ ゴールド)」(ドイツ製)

弓工房として有名なドイツLaubach社が製作しているオリジナルの
高級松脂シリーズです。
100%天然の樹液と、99.9という高純度の
金粉が使用されています。
「金粉入り」というのに惹かれて、つい購入してみました。(笑)
パッケージもなかなかゴージャスな感じですね。箱の蓋には磁石がついていてgoodです。

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金粉を使った松脂は、他に「リーベンツェラー」や「ピラストロ ゴールドフレックス」などが
有名ですが、金粉の効果としては、金粉を核にして松脂が付き引っかかりがよくなるという説や
サラッとした独特の吸い付き感が得られるという説などがありますが、どちらも表現が違うだけで
同じことを言っているのかも知れません。

実際に使用してみた感想は、弾いていて非常に心地よいフィーリングです。
前出の「Jade」よりもさらに強めのグリップ感があり、一方でベタつく感じは全くありません。
この独特のフィーリングはやはり金粉のなせる技なのでしょうか。
本体の松脂も秀逸だと思います。倍音成分をあまねくバランスよく引き出してくれる感じです。
私の好きな松脂Best5のうち、私が最も良く使用する「ラーセン」と「J.F.ラファン」は
妥協を許さない、高音域の抜けの良いクリアな音質と言う点で、別格だと感じていますが
この松脂はその2つに比べるとその滑らかさからか、ほんの少しだけマイルドなタッチが感じられる分
優しさや品の良さといったような音の雰囲気が出るように思います。
これは我が松脂の2強に伍して、3強の一角に連なる逸品かも知れません。
しばらく使ってみて、いろいろな楽曲の表現との相性を吟味してみたい松脂ですね。

松脂はこだわれば本当にキリがない、かといって無視できるほど違いが小さいわけではない。
絶対的な正解はなく、つまるところ演奏者との相性次第と言って過言ではないと思います。
最初に二胡に付いてきた松脂を使い続けている方も居られます。それもある意味幸せかと…。

ご参考「私の好きな松脂Best5」

「ラーセン」(デンマーク製)
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「J.F.ラファン」(フランス製)
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「ギヨーム」(フランス製)
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「メロス」(ギリシャ製)
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「アルシェ201 solo」(日本製)
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松脂関連のTipsいろいろ

私のちょっとした工夫例などをご紹介します。

私は演奏終了後は琴弓を二胡から必ず外します。琴弓を外した状態で松脂も塗りますが
ペットボトルのキャップを部屋のあちこちに貼付けてあります。
ここに琴弓の先端を固定して松脂を塗ると、圴一の力で表裏ムラなく塗り易いので重宝しています。

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合成

松脂の粉は毎回必ず落とします。その時に便利なのがこれ。
これは100円ショップで手に入るシェービングブラシです。毛が柔らかすぎず固すぎず
いろいろな隙間や、琴棹と弦の間にもアプローチしやすく、二胡掃除には絶妙のバランスです。
数千円もする高級品も試してみましたが、柔らかすぎ上品すぎて、使い物になりませんでした。
毛先に松脂が付着してきますので6ヶ月ぐらいで新しいものに替えます。
我が家には大人買いした15年分くらいのストックがあります。(笑)

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松脂をブラシで落とした後の仕上げに使うのが、このハンドタオル。
これも100円ショップで売っている正方形のものです。最近はフワフワ感もありしっかりとした
日本製の良い製品が、本当にベストプライスで手に入ります。
これを2つ折にしてループを縫い付け、いつも机につけたフックに吊るしてあります。
松脂の拭き取り仕上げ用と、オイルなどを使った手入れ用は色違いで区別しています。

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最後に二胡の木部手入れ用のオレンジオイル。柑橘類の皮に含まれるオイル成分です。
ギターなどの木製楽器の手入れ用として有名です。蜜蝋(ビーズワックス)を加えた製品もあります。
以前は英国製のアンティーク家具用カルナバワックスを使っていましたが、こちらの方がいいです。
しつこい松脂も一発でクリーニングでき、木部保護や、つや出しができます。

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オレンジの良い香りがしますが、苦手な方は類似商品でレモンオイルもありますよ。
私の老師はソチラ系を使っておられます。
ちなみにイチゴ風味やメロン風味はありません。(笑)


芸術的弓魚

以前、琴弓の話のときに馬尾を引っ掛ける「弓魚」を芸術作品のように
造っておられる方がいらっしゃる、というお話をしました。

そのご本人、M県在住で二胡教室も主宰されておられる、Mさんから
芸術的弓魚を2つ譲り受けましたので、ご紹介したいと思います。

早速、現在メイン二胡で常用している琴弓に取り付けてみました。なかなかに決まっています。
両方の弓魚とも、私の手や琴弓にぴったりとフィットするように若干の加工調整をしています。
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上の弓魚は「レッドアバロン貝」と本黒檀のハイブリッドです。
この貝は北米のカリフォルニアの沿岸で採れるアワビ貝の仲間で、
大きいものは、40〜50年で直径30cm以上にも成長するそうです。
少し紅い色が入っていてとても綺麗ですね。本黒檀との組み方の配置も絶妙です。

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下は、「メキシコアワビ貝」と銘木ウェンジュのコラボレーション。
この貝はその名の通りメキシコ湾からカリフォルニア海南部でとれ、
別名「クジャクアワビ」とも言われています。
こちらはウェンジュとのシンプルな貼り合わせですが、
ゴージャスな輝きが何とも言えぬ味わいを醸し出していますね。

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弓魚は奏者の意思を琴弓と馬尾に伝える大切なインターフェースなのですが、
ただ別にここまで拘らなくとも、ちゃんと二胡は演奏できます。まあ気持ちの問題かな。(笑)

しかし余談ですが
貝で造られた弓魚は木材主体のものよりも、ほんの少し(5gくらいかな)重量が増すようです。
琴弓では、この5g程度が大きく奏者が体感する演奏フィーリングに影響することがあります。
例えば、手元が重い棒と、先端が重い棒では、先端を動かす機動性が違ってきます。
手元が重い琴弓は、先端まで含めた取り回しがキビキビできるように感じられます。
また特に外弦に対する自然な圧力も変化しますので、音量や音質に影響が出ます。
私は、数十グラムまで少しずつ段階的に、手元や先端に重りを増やして試して弾いてみましたが
ほんの少し5〜8g程度手元を重くすると、私的には好みの音やフィーリングになるようです。
私が少量の鉛の板を琴弓に装着して微調整することが多いのは、そういう理由からです。

お話をもとに戻しますが
下の写真が、「メキシコアワビ貝」の原貝です。
直径17cmほどのものですが、結構いい値段がします。

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実は私はつい調子に乗って、鹿児島のルアー材料店から取り寄せてしまいました。
何に使うかって ?
それはもちろん、芸術的弓魚づくりにチャレンジするためです。
加工が難しそうなので、まぁ、いずれそのうち、チカイウチ……ですけれどね。(笑)


二胡弾きの隠れ家

私の普段の二胡ライフについてお話しすると
老師の個人レッスンのための予習や宿題なども含めて技巧練習曲、考級曲や演奏会用の曲など
毎日5〜6曲を練習しています。

今、私が演奏会用に取り組んでいるのが、劉天華作曲の「病中吟」。
劉天華が20歳の1915年から構想をあたため、8年後の1923年に決定稿が完成しました。
「病中吟」というタイトルは「病気にかかって呻吟している」という意味ではなく
当時の中国の社会状況と、それを憂う自己の深い心の悩みを表現したものと言われています。
劉天華の他の曲も皆そうなのですが、なかなかに奥深く、技巧を超えた表現者としての
力が試される曲だと思っています。
この1年ほどは劉天華の魅力に取り憑かれて、ハマり込んでしまっています。(笑)

「病中吟」五線譜版。これはピアノ伴奏の確認用です。普段は数字譜を使います。
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数字譜はこちら。ボチボチ書き込みが増えてきました。
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余談ですが、この曲の前に半年間弾いていた、同じ劉天華の「閑居吟」は楽譜がこんな有様に。
この曲は1000回以上弾き込みました。が、もうすっかり忘れちゃいました。(笑)

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閑話休題。

「二胡弾きの隠れ家」

怪しいタイトルですが、今日は私の二胡環境を、本邦初公開しようと思っています。(大袈裟な)

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散らかっていて恥ずかしいのですが、私の部屋の一隅にある二胡練習コーナーです。
駒を製作したり、二胡の調整をする時の作業机に早変わりしたりもします。
ここは二胡の練習に打ち込めるように色々な工夫をしています。

まずご紹介したいのは、この凸面鏡。

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その昔、ゴルフスィングをチェックするために購入したものですが、全身を映せるため
今は二胡の演奏時の姿勢全体のチェックに使っています。
十字の形に赤い基準線が入っていて、体幹のブレや運弓のブレなどのチェックに大変便利です。
でも老師からは相変わらず「右肘と手首の使い方が…」とダメ出しされていますが。(笑)

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こちらの小さい鏡は、主に左手の動きや形をチェックするのに使っています。
従って、椅子に座ったままの状態で二胡の演奏時の大事なポイントとなる部分のチェックが
この2つの鏡で容易にできますので大変重宝しています。
ま、鏡を見てウットリとしてしまわないようには気をつけています。(笑)

机の前に貼ってあるのは、手作りの各調別のフィンガーリングのポジション表です。
二胡の数字譜は各調によってドレミファの位置が変わる「移動ド」方式ですので
もの覚えの悪い私にとって、これはもう絶対に欠かせません。

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さて机の上にはチューナーや伴奏再生用のipadの他にも、色々な秘密兵器があります。

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下の写真はドラムマシーンと呼ばれている機器です。
各種打楽器の音源をパッドで叩いて入力することで、好きなリズム好きなテンポで
自演セッションを簡単に作ることができますので、それを再生することで
二胡の練習時にメトロノームの代わりに使えます。
メトロノームだと意外とリズムが取りにくかったり、練習が味気なかったりするのですが
これを使えばロックでもR&Bでもバラードでもお好みのドラムサウンドをバックにノリノリで
練習ができるという優れものです。二胡の練習が本当に楽しくなりますよ。

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そしてこれはボイストレーナーと呼ばれている秘密兵器です。
市販のCDを再生するときに、キーやテンポが自由自在に変えられます。
ボーカルや主旋律の音量だけを小さくしてカラオケのように再生することもできます。
再生した音をパソコンにつないで取り込んでCDに焼くこともできます。
自分の好きなテンポで伴奏CDを作りたい時などに大変重宝します。
「塞馬」の練習のときなどは、♩=90くらいから、本来の速さの♩=160まで5ピッチ刻みで
伴奏CDを作って遊びながら楽しんで練習できました。

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二胡コーナーの反対側には私のパソコン関連のデスクがあります。
ここで音楽データの編集やこのブログを書いたりしています。
とっても居心地のいい、私の「秘密基地」です。(笑)

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とまあ、こんな感じでマイペースで二胡ライフを楽しんでおります。
二胡っていいですね。

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                               王根興 作「荷塘月色」

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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