晴れときどき二胡

ケ・セラ・セラな 日常と、ときどき二胡のお話です

 

晩秋の札幌

故郷である札幌に、祖父母の墓参をかねて里帰りをしてきました。
新千歳空港へ降り立つ前の上空から見た原野でも、北国はまさに紅葉で燃え盛っていました。
我が実家の周囲でも、ナナカマドやプラタナスの深紅や、ポプラの黄色が、それはそれは奇麗です。

旭町

子どもの頃、家のそばにあった牧場のサイロも100年近くを経た今、住宅に囲まれて
モニュメントになっていましたが、未だ健在です。

サイロ

帰路、新千歳空港で、10店鋪の有名店が一堂に会している「北海道ラーメン道場」へ寄りました。
ここは手早くリーズナブルな価格で話題のラーメンが食べられる人気スポットです。

道場前


空港ラーメン道場

札幌のラーメンと言えば、何と言っても「みそラーメン」です。
私は青少年期、「みそラーメン」で育ったといっても過言ではありません。(笑)
どの店も美味そうで目移りがしましたが、「味の時計台」のシンプルなみそラーメンを
大変おいしくいただきました。

ラーメン

北海道はまもなく雪の季節です。



スポンサーサイト

駒をつくる

今日は二胡の駒の話です。
二胡は弦楽器ですので他の弦楽器と同様に弓で弦を擦った音を、
楽器本体へ伝導させるためのが必需品となります。

IMG_0401.jpg

IMG_0415.jpg

二胡を始めた当初から、バイオリンや三味線の駒はかなり精巧にできているものが多いのに、
二胡の市販の駒は、結構、大雑把というか所謂「テキトーな造り」だなと、気になっていました。
そこで最初は市販の駒を丁寧に削り直したりして調整して使っていましたが、満足できず
自分でハンドメイドで作ってみようと思い立ったのが、
長ーい駒遍歴の始まりでした。(笑)

以来、作った駒は軽く100個を超え、もう数えるのも忘れてしまうほどになりました。
材質、形、大きさなどアイデアを温めては、駒を造型しますので一つとして同じものはありません。

私の駒の特徴は、蛇皮に接する底面が円形ではなくオーバルで、市販品よりも面積が大きいものが
多いということです。面積が小さいと一点集中のため音はよりシャープになりますが
と同時に雑味もまたギザギザとシャープになってしまうようです。
また駒の上の首の部分が、少し二胡の下方向に傾いた形になっています。
これは駒で上下に分かれている弦の当たっている角度がそれぞれ違っているため、
駒に対し斜め下方向のベクトル合成が働き、故に上部が垂直のままだと音が蛇皮に伝わる中心点が
駒の底面の中心に一致せず音の伝達効率が低下するため、上部を傾けることで調整しているのです。
長い試行錯誤の結果、このような特徴をもった形が私の好みの音質になることが判った次第です。

多くの駒は同門の二胡仲間に差し上げたりして、今手元には自分用の20個ほど残っています。
この駒づくりは、仕上げ段階で1/20mmの精度を出して行きますので
かなり習熟してからも設計から仕上げまでは1個あたり2〜3時間かかります。
プロセスは大体こんな感じです。この時は2個同時の製作でした。

IMGP0141.jpg
IMGP0142.jpg
IMGP0143.jpg
IMGP0150.jpg
IMGP0159.jpg
IMGP0160.jpg
IMGP0166.jpg
IMGP0167.jpg

こんな小さな駒ですが、二胡のよい音質を引き出すためには大変重要な役割を果たします。
駒の材質や形によって二胡の音質が劇的に変わることもあります。
例えばウルフ音(特定の周波数の倍音が弦に干渉して、あるポジションでうなりや異音が出る現象)
に悩まされている場合も駒を替えれば解決することがあります。
ただ駒と音質向上の相関関係は、数多くの駒を試した経験上、大まかな方向性は掴めるのですが
結局は駒と二胡の相性に依存しますので、出来上がって試してからのお楽しみとなってしまいます。
これが故に駒遍歴を重ねるハメになったのですが (笑)
また、それは尽きることのない駒づくりの醍醐味なのでもあります。

いくつかの作品をご紹介したいと思います。

紫檀駒

IMG_0497.jpg

タイ原産の本紫檀でつくりました。どんな二胡にも合う優等生です。
重厚で輪郭があり、深く太く実直な感じの音質です。

象牙駒

IMG_0491.jpg

象牙は材料が高価ですが、端材でつくってみました。牛骨と違って透き通るような模様が綺麗です。
この駒は音質を劇的に変えます。どの二胡でもエコーがかかったような甘い甘い音となります。
好みが分かれるところでしょう。

ブライヤー駒

IMG_0506.jpg

パイプの材料になるブライヤー(ツツジ科の木の根)でつくりました。
炎のような杢目や、バーズアイと呼ばれる杢目がとても美しく出ます。
淡白な枯れた感じの音質です。

老松駒

IMG_0489.jpg

出雲産出の樹齢350年の老松でつくりました。どちらの駒も象牙と組み合わせています。
今まで手がけた素材の中で、最も柔らかい素材のため弦の当たる部分に象牙をあしらっています。
木質化した松脂が溶け込んだ透き通るような琥珀色の杢目がとても美しいです。
この材料はよく工芸品のランプシェードに使われるように、光をほのかに通します。
柔らかい素材が醸す特性なのか、輪郭はあるがwettyな哀愁を感じるようないい音を出します。

スネークウッド駒

IMG_0494.jpg

IMG_0498.jpg

IMGP0172.jpg

スネークウッドは駒の材料の中で、私が最も好むものの一つです。
比重が水より大きく堅いため、加工が難しいのですが、キリッとしたいい音が出ます。
伸びがあり、明るく爽やかな音質です。私のスネークウッドの上海二胡との相性も抜群です。

上の写真は駒の材質や形に対する考察や試行錯誤の事例です。
駒の穴が何の役割を果たしているのか ? や、異なる素材をハイブリッドするとどうなるか ?
など疑問に思ったことをいろいろと試してみました。
駒の穴はなくてもその部位を細くつくれば、音の皮面への伝達効率は変わらないように思います。
木材と象牙とのハイブリッドの相性はとてもいいです。音が少しまろやかになります。

ウェンジュ駒

IMG_0501.jpg

アフリカ産出のマメ科の銘木であるウェンジュも、私の好みです。現在、蘇州二胡に使っています。
やや粗くまっすぐな縞模様の杢目がとても綺麗です。
しっかりとした芯のあるよく通るクリアな音を出します。大好きな音です。
左の二こぶの駒は蛇皮に伝わる倍音を分散させることで、微妙に相互干渉させて
ノイズキャンセリングできないかと考えたものです。
これがなかなか上手くいって、音の雑味が減少するようです。

IMG_0263.jpg

たかが駒、されど駒

駒をつくる楽しみもまたいいものです。



いくら祭り

我が家の秋の味覚は、「いくら」。
生筋子(鮭の卵)が、9月ぐらいから出回りはじめますが
10月になると旬を迎えて粒も大きくしっかりとしてきます。
私は北海道育ちなので、子供の頃から家で自家製のいくらに慣れ親しんできましたが
関西のスーパーマーケットなどでも生筋子が手に入るようになったのは10数年前からです。
なので以来この時期になるとせっせと大量のいくらをつくります。

IMG_0359 blog

塩水でばらした生筋子は保存容器に移して、市販の麺つゆを大匙3ほど薄めずに混ぜて、
冷蔵庫で半日置けば、「いくらしょうゆ漬け」の完成です。

で、食卓を彩るのが「いくら丼」。
大葉の千切りの上にいくらを惜しげなくたっぷりと。我が家の秋の定番丼です。

IMG_0374 blog


それから「いくら・たらこスパゲッティ」。
茹で上げのスパゲッティをたらことバターで和えてから、
醤油ペパー味で炒めたエリンギをトッピングした上に、いくらを載せます。
こちらも同じく大葉を散らします。

IMG_0394 blog

で……

IMG_0389 blog

我が家の猫 (今年22歳)もご幼少のみぎりから、いくらが大好物なのであります。(笑)



二胡の話

今日は私が愛用している二胡の話です。
二胡を始めてから、かれこれ7把もの二胡遍歴を経て
現在メイン使用でレッスンや演奏会などに持ち歩いているのがこの2把です。

左が上海二胡、右が蘇州二胡です。
代表的な二胡としては、この他に北京二胡がありますが私は所有していません。

IMG_0050 blog

まずは上海二胡

中国でただ一人の二胡製作高級技師(日本の人間国宝のようなもの)の称号をもつ
「王根興 (おうこんこう)」の74歳(2009年)の時の作品。
「王根興」は2009年、彼の弟子である中国伝統楽器研究家の「沈正國」とともに、
中国の伝統文化をモチーフに現代の二胡をデザインするという試みを始めました。
これ以降、彼は毎年異なるテーマを選んで数量限定のデザイン二胡を世に出しています。
これはまさに、その記念すべき最初の編号001号作品、博物館収蔵レベルの大変貴重な二胡です。

この二胡のテーマは『荷塘月色』(かとうげっしょく=「蓮の池の月の光」という意味)です。
ほぼ1世紀前に生きた「朱自清」という詩人による有名な散文を典拠としています。
朱自清は、二胡が独奏楽器として発展していく上で大変重要な功績を残した
有名な作曲家・演奏家である、あの「劉天華」と同時代の人です。
王根興や沈正國がこのテーマを一連のデザイン二胡製作の最初に選んだのは、
何かそれなりの伏線的な想いがあるのかもしれませんね。

IMG_0208 blog

IMG_0223 blog

IMG_0222 blog

IMG_0221 blog

IMG_0227 blog

この二胡の材質は写真に虎紋木とありますが、これは中国学名では蛇紋木、世界中では一般的に
snake wood (スネークウッド)と呼ばれるものです。南米はギアナ原産の蛇柄模様が特徴的で
大変希少価値があり入手困難な銘木です。「木のダイヤ」とか「木の宝石」との異名がつきます。
ワシントン条約で保護されている資源ですので、二胡に使われているのは非常に珍しいです。
今までに何度か、ギターのネックや裏板などに稀に使われているのを見たことがありますが
そのギターは、某ドイツ製の外車が買えるぐらい恐ろしく高価でした。(笑)
二胡ではsnake woodを使ったものは、この「王根興」の二胡以外では、私が調べた限りでは
世界中を探しても多分ないのではないかと思われます。
この素材は非常に堅く、比重も1.3を越えるぐらい重いので( つまりこの木は水に浮かないで
沈むのです) 、構えてみるとずっしりとした安定感があります。
音響特性が素晴らしく良いので、どのポジションでも非常にクリアでよく通る大きな音がでます。
二胡はよくもの哀しい響きと言われますが、なんのなんの、この二胡を弾くとその音の華やかさ、
透明感に、どこか心が晴れ晴れ、ウキウキとしてきます。(笑)

次に蘇州二胡

蘇州二胡はしっとりと落ち着いて哀愁を帯びた響きが魅力と言われることが多く
日本人には大変人気があるようです。
この二胡は蘇州の二胡製作名人「萬其興 (ばんきこう)」の69歳(2007年)の時の作品。
材質は印度小葉紫檀といわれるもので、長年、二胡の最高素材として使われてきましたが
乱獲のため現在では絶滅の危惧すらあるので、インドから中国への輸出は規制されています。
その貴重な素材をこの二胡では、構成される全ての材質の振動特性を合わせるためという目的で
「整胴」と称して全て同じ一本の木の中心部分だけから惜しげもなくチョイスしています。
ですから音もさることながら、この二胡は杢目が非常に美しい仕上がりとなっています。
光の加減で深い色が様々に変化するのも印度小葉紫檀が歴代中国の宮廷で珍重されてきた所以です。
白い部分は一般的には牛骨細工のところを、これまた贅沢に全て象牙を使っている逸品です。
まるでご禁制の素材のオンパレードみたいな二胡ですが、ちゃんと輸入許可は取ってありますので
念のため。(笑)

音色はクリーンで輪郭がはっきりとしていますが、豊かな倍音構成で、どことなくしっとりとした
甘味が感じられるような、どちらかというと音量より音色を好む典型的な蘇州二胡の響きをもつ
銘器であると思います。
(ついでにいうと北京二胡はより音量が出る方向で進化してきたようです)

IMG_0122 blog

IMG_0123 blog

IMG_0124 blog

IMG_0126 blog

現在ベンチ入りしている他の作家の二胡の紹介はまた後日。
日々浅才非学を自覚する者ですが、これからも楽器に負けぬよう精進して行きたいと思います。(笑)



十六夜

10月です。本格的な秋が始まろうとしています。
旧暦8月15日(9月30日)の十五夜の月は、残念ながら台風の影響で見られませんでしたが
我が家から見る昨夜の十六夜の月(いざよい月)は、とても奇麗でした。

IMG_0259 downsize

IMG_0273 downsize

充ち満ちの満月もいいけれど、いざよい月もなかなかに風情があります。
わが街の銀杏並木にも銀杏の実がつきはじめましたが
台風一過、早くも結構な数の実が落ちていました。
まだ青いドングリも吹き落とされたようです。

IMG_0294 downsize

IMG_0282 downsize

IMG_0340 downsize

さざ波のような雲や深い空。
空気が真夏とは全く違った表情を見せるようになりました。

IMG_0330 downsize

IMG_0344 downsize


1年の中で私の一番好きな季節がやってきます。



プロフィール

Oyran

Author:Oyran
♂ 神戸市在住

アーカイブ
過去の全てのタイトルは         このリンクをクリック

2017年 03月 【3件】
2017年 02月 【1件】
2017年 01月 【1件】
2016年 12月 【1件】
2016年 11月 【2件】
2016年 10月 【1件】
2016年 09月 【1件】
2016年 08月 【1件】
2016年 07月 【2件】
2016年 06月 【1件】
2016年 05月 【2件】
2016年 04月 【2件】
2016年 03月 【2件】
2016年 02月 【1件】
2016年 01月 【2件】
2015年 12月 【2件】
2015年 11月 【4件】
2015年 10月 【4件】
2015年 09月 【5件】
2015年 08月 【5件】
2015年 07月 【8件】
2015年 06月 【7件】
2015年 05月 【6件】
2015年 04月 【4件】
2015年 03月 【5件】
2015年 02月 【4件】
2015年 01月 【5件】
2014年 12月 【6件】
2014年 11月 【7件】
2014年 10月 【7件】
2014年 09月 【6件】
2014年 08月 【8件】
2014年 07月 【8件】
2014年 06月 【8件】
2014年 05月 【12件】
2014年 04月 【12件】
2014年 03月 【14件】
2014年 02月 【11件】
2014年 01月 【16件】
2013年 12月 【18件】
2013年 11月 【21件】
2013年 10月 【20件】
2013年 09月 【22件】
2013年 08月 【24件】
2013年 07月 【24件】
2013年 06月 【24件】
2013年 05月 【26件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【25件】
2013年 01月 【11件】
2012年 12月 【7件】
2012年 11月 【3件】
2012年 10月 【5件】
2012年 09月 【3件】

カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
ブロとも申請フォーム

12345678910111213141516171819202122232425262728293031 10