晴れときどき二胡

ケ・セラ・セラな 日常と、ときどき二胡のお話です

 

トワイライト

今日は、外出からの帰り路、気持ちのよい穏やかな夕暮れでしたので
名残惜しく、帰宅して我が家の東西南北の窓から望むトワイライトを切り取ってみました。

六甲大橋と六甲山遠望
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神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ
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最後の輝き
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六甲アイランドと遠くポートアイランドの埠頭を望む
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穏やかな初日の出で始まった1月も、もうすぐ終わりですね。


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二泉胡に合う弓

二泉胡がやってきてからは、とても面白いので二胡の練習前に毎日弾いています。
最近は、普段の基礎練習などは二泉胡でやっています。すっかり低音の魅力の虜になりました。

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二泉胡を弾き込んでいくうちに気づいたこともあります。
二泉胡は弦が二胡のものよりも太いので、高いポジションの音を美しくクリアに鳴らすのが
なかなか難しいのです。
第1、第2ポジションあたりだと、二胡と同じように普通に弾いても深い低音が
よく鳴ってくれるのですが、第3、第4ポジションあたりからは、例えば大人の男性が
無理やりソプラノの発声をしようとする時のような苦しげな音になります。
普通の二胡の場合でも内弦の第4ポジション以降の発音が少し苦しいのとよく似ています。

これを克服して高音域でいい音を出すには、それなりの弾き方を会得しなければならない
のですが、太っちょの二泉弦に機嫌良くプルプル震えてもらうためには、左手指の圧力を
変えてみたり、右手のボウイングのタッチを変えてみたりと、試行錯誤が続きます。
でも大分解ってきたような気がします。
また、二泉胡をきれいに鳴らす弾き方を毎日探っていると、そのことは結果として二胡の
音質向上にも繋がっていることに気がつきました。二泉胡は本当に勉強になりますね。

二泉胡を弾くための琴弓でもいろいろと試行錯誤してみました。
以前このブログでもご紹介しましたが、王小迪が90歳を過ぎた演奏家の張鋭師のために
特注製作した中胡弓もボリューム感のある発音が捨てがたいし、故蒋風之師の弓を復刻した
馬尾が200本しかない、か細い琴弓も、意外に二泉胡の高音域では透明感がある音だし…
などと迷っているうちに、本日、ニューフェイスの琴弓が2本我が家にやってきました。

ジャーーン !
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いきなり変な写真ですみません。(笑) 
ちょっとマクロ撮影の練習台にしてしまいましたが、今日、中国から届いた新しい琴弓です。

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北京の琴弓製作名人である李懐剛師が設計した琴弓です。李懐剛師は著名な女流の琴弓製作家の
王小迪師の師匠でもあり、70歳を過ぎた現在、彼の技術は娘婿である潘栄亮師に伝授されています。
この李懐剛師が設計した琴弓は王小迪師や陳宝田師の琴弓ほどメジャーではありませんが
実は、中国で著名な二胡演奏家である于紅梅、田再励や中央音楽学院学生などの多くがこの琴弓を
使用しているという情報を入手してから、私も是非試してみたいものだと思っておりました。

いつものように淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)を探しまわって見つけて、2本の琴弓が
運賃をケチったため、船便で1ヶ月近くかかって我が家にやってきました。(笑)

この弓の特徴はカーブを描く弓棹にあるそうです。先から根元までの湾曲は計算されたもので
特殊な技術でこの形になっており、右腕をオープンにした時に弓棹の弾力を失わないような
設計になっているということだそうです。
実際に二胡を弾いてみると、なるほど発音がすごく良く、弦を擦るときのタッチがシルキーと
言うのでしょうか、心地よいフィーリングです。しかし敏感です。右手のちょっとした動きに
反応して音質の変化になって表れます。面白いなー。この琴弓。でも上級者向けでしょうか。

二泉胡をこの琴弓で弾くと、発音が抜群に良いので低音域も高音域もきれいに鳴らせます。
ということで当面、仮採用ということで二泉胡の琴弓として使ってみようかと思っています。
何はともあれ、めでたしめでたし…と。


ふとバルコニーを見ると、アルミサッシに大胆にもへばりついてこちらを覗いている
雀たちと目が合いました。(笑)

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そうか、もう晩ご飯の時間か。催促かー。
それにしても増えたなー。300羽はいますね。たっぷりと太らせて、そのうちに…フフフ。


金沢・加賀・能登展

今日は、定例の大阪・梅田周辺のブラブラ探検隊の日でした。
私は格別、阪急百貨店Loveという訳ではないのですが (笑)
昨秋の新装開店以来、面白そうな催事がわりと頻繁にありますのでよく出かけます。
このところは「金沢・加賀・能登展」が開催されていますので、ちょっくら覗いてきました。
クラフト好きの私にとって、いろいろな工芸品などを見るのは楽しみです。

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まず最初に目に飛び込んできたのが、「山中塗りガンダム」
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私はガンダム世代ではないのですが、マニアが見たら垂涎ものなのでしょうね、きっと。

起き上がり招き猫 だそうです。(笑) どこかで見たキャラだなー…。
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猫系の工芸品多いな…。これはブローチです。
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「食用金箔」 食べ物なんですね…。カロリーオフかな。
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「醤油差し」 このキャラも何処かにいたような…。
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ロックグラスとワイングラス バカラ並みの価格です。
でもバカラは高いのにある日突然割れることが多いけど、日本のグラスは丈夫なんですよね。
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加賀の銘酒 嫌いじゃないです、はい。(むしろ好きでしょうに ? )
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酒肴にはコレコレ。(笑) 「かぶら寿司」
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「蟹の棒寿司」 ボリュームありますね。
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東北地方の伝統工芸品のような質素の中にも野太い様式美があるのとは、またひと味違って
どこかきらびやかで優美な色遣いが、さすが加賀百万石の伝統を感じさせるものばかりでした。

加賀の伝統を堪能した後、なにはともあれデパ地下へ直行してお買い物。
(「花より団子」私が制定した我が家の絶対的な家訓です。笑)

「難波 551の蓬莱の豚まん」 大阪B級グルメの定番です。
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何でもこれと同じ「蓬莱」という類似商品が出回っているとか。注意書きが入っていました。
うん、最近我が家の近くのスーパーマーケットでもよく、551とは書いていない「蓬莱」の
豚まんを見かけるなと思っていました。どっちも美味しいけれどネー。

そして本日の我が家の晩ご飯はコレ !! 生の串カツを仕入れました。
家で揚げてアツアツをいただきたいと思います。
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今日も、楽しい梅田少年探検隊でした。(年齢詐称するなー、笑)


帰宅すると、昨日注文しておいたマクロレンズが届いておりました。
最近、いろいろな方のブログの素晴らしい写真に刺激されて、購入しました。
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早速遊んでみることに。(笑)
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なかなか面白い。ついつい夢中になってしまいました。
最後の詰めのマニュアルフォーカシング、今ひとつ甘いですねー。
さすがに手持ちだと辛いかなー。
ローアングルの三脚どこかにしまってあったから探しておかなきゃ…。
隠れた才能に目覚めて、写真ブロガーに転向しちゃうかも知れませんね。(ナイナイ、笑)


琴弦がつぶやく

今日は二胡弦(琴弦)のお話です。

二胡の弦には本当に多くの種類の製品があり、色々と弦を試してみようと思い始めると
そんなに毎日替えたりするものではありませんので、お気に入りの二胡弦の選定には
ある程度の時間もかかるし、比較に困ることが多いものです。

私もこの6年近く、結構な種類の二胡弦を取っ替え引っ替え試してみましたが
現在お気に入りとして常用しているのが、次の3種類の製品です。

中芸科技 FangFang SOLO 二胡弦

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中国芸術科学技術研究所(中芸科技)の弦設計師である朱鳳良氏が設計し
ドイツの有名なワイヤーメーカーであるROSLAU(レスロー社)に発注して製造された二胡弦です。
FangFangは青や赤などのパッケージが有名ですが、中でもこの頂級(最高)品質のSOLO弦は
選び抜かれた材質、優れた技術、クリアで優美な音色で、聴く人を魅了する非常に優れた弦です。
中国国内外のプロの奏者の要求を取り入れて作られました。
仕様は同じ中芸科技のゴールドパッケージsolo弦より少々太め、FangFang赤と同じです。

「少しでも雑な演奏なんかしたら、全部音に出しちゃうからね !」
と脅されているような、切れ味の鋭さを感じます。私の大好きな弦です。(笑)

トマスティック・インフェルド 二胡弦

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創立1919年のオーストリアのトマスティック社はバイオリンやギター弦の老舗メーカーです。
この会社が独自に開発した二胡弦は、、内外弦とも芯線は撚り合せたスティールでできており
A 弦は周りを錫でコーティング、D弦はクロム箔を巻きつけるという独自の設計です。
ウィーン風のバイオリンのような澄んでいて、かつ華やかで洗練された音を奏でます。
雑音が少なく安定しているので、コンサート時などのソロ演奏に向いていると思います。
歴史的実績のある弦メーカーの製品だけあって耐久性にも優れています。

弾くと、「二胡の音が哀愁を帯びているなんて、誰が言ったのよ ?」
と言われているような力強さ、華やかさ、明るさといったものをを感じます。(笑)
この弦も私は大好きであります。

中芸科技 二泉弦

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二泉弦はG-D、A-Eの2種類がありますが、二胡弦ほど種類は多くありませんので、
二胡弦で定評のあるメーカーのものをと考えて、G-Dはこの中芸科技の製品
A-Eは凱凱科技の製品を使用しています。どちらも中国メーカーが設計してドイツの
ROSLAU(レスロー社)に発注して製造された高品質の二泉弦です。


さて日本で現在販売されている二胡弦は、比較的種類が限られていますが
中国最大のオンラインショップである淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)などを
覗いてみると、実に多くの種類の二胡弦があることが判ります。

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無題

つい調子に乗って、並べてみましたが、まだまだキリがないのでこの辺で。(笑)

これらの二胡弦は、現地のディスカウント価格で1〜100人民元(現在1人民元=14円強)で
販売されています。ちなみに冒頭の私のお気に入り二胡弦は、ベストプライスの価格では
上から順に、それぞれ約70人民元、90人民元、30人民元ぐらいです。
中国国内でもかなりの高級品ですが、日本に輸入されるとさらに2〜3倍の価格になります。


以前どこかで、市販の二胡弦の成分を元素分析された方の記事を読ませていただいて
なるほどなー、と感心した記憶があります。
ちなみに、二胡とバイオリンのスティール弦の製造法は殆ど同じといってよいと思います。
そのスティール二胡弦の殆どは、外弦全体と内弦の芯部分はFe(鉄)99%前後の成分であり
それらの部分の残りの1%前後と、内弦の巻弦部分の成分を
Fe(鉄)、Ni(ニッケル) 、Mn (マンガン)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)
Mo(モリブデン)、Ag(銀)などの材料を使って、どのような割合で配分するかが
各メーカーの設計思想や販売戦略によって異なっているところだそうです。

一見、細い一本の裸線に見える外弦(A弦)も、ミクロではより細いスティールワイヤーを
螺旋状により合せて作られているものが殆どです。ここで技術の差が出ます。

内弦(D弦)に至っては、さらに複雑な構造となっています。

内弦(D弦)
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より合わされた芯線と同じ太さの巻線と、更に外側に平たい線があるのが判ると思います。
そしてなんと、それぞれの線が右巻き、左巻き、右巻きの仕様になっているのです。
この弦の直径はわずかに0.44mmです。まさにミクロの技術の粋ですね。

弦の材料として使用される金属によって、弦の音色は明らかに変わります。
それは金属というものは、それぞれ特有の比重と固さを持っているからです。
それに、さらに製造プロセスの技術や精度なども加味されて、弦の価格・音質・耐久性などが
最終的に決まってくるように思います。
現地価格で1〜100人民元(14〜1,400円)というもの凄い価格差には、それなりの意味が
あるのでしょう。


弦には「弦の3大要素」というものがあると言われています。

1.線密度(質量)
素材の比重が大きく、弦が重ければ重いほど弦の張力は強くなり、それに伴って音に張りが
出て高周波数の倍音成分が強く出るようになります。しかし弦の質量を重くし過ぎると
弦は下の二つの要素(均一性・柔軟性)が犠牲になってしまいます。

2.均一性
弦の各部位が均一でなくバラツキがあると、音を構成するの倍音の周波数に乱れが生じます。
例えば弦を442Hzにチューニングしても、2倍音が880Hzになってしまうと音程感が
損なわれてしまいます。これは「安かろう悪かろう」の弦を使ったときや、弦が古くなった
ときなどに起こり得ます。

3.柔軟性
仮に弦に柔軟性が全くないならば、倍音成分さえも出てこないのです。
すなわち弦が振動する時に発する豊かな音質は消滅しまいます。
例えばソリッドな金属棒を叩いたときに、豊かな音質感がないという感じと同じです。

そしてこれらの要素の判定は、楽器との相性や個人のフィーリングに大いに依存するという
点も、物事を複雑にしています。

理想的な弦は、上記の3大要素が必ずきちんと包含されていなければなりません。
しかしこの3大要素は、時に相反、相克するものでもありますので、バランス良く
最高の条件を満たす弦を作るということは、実は並大抵のことではないということなのです。

オットー社 Golden Lion 二胡弦

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実は、日本にはまだ輸入されていないようですが、中国国内で最近チラホラと見かける
気になっている二胡弦があります。トマスティック、ピラストロに続く外国製品ですが
OTTO社とは、1974年に設立されたドイツのバイオリン用品販売会社です。
当然ドイツ製スティール弦を使っていると思われますが、気になるポイントはその価格。
おそらく私が知る限り、ベストプライスで現地価格最高の、96人民元をつけています。
どんな音がするのでしょうか ? 気になる、気になる…(笑)


さてさて、一口に弦と言っても、様々な特徴を持った弦が、二胡弾きの多くのニーズに
応えるべく共存し、存在しているにもかかわらず、二胡弾きの欲求が尽きるということはなく
そして全ての欲求を満たす弦というのもありません。実に罪深き世界ですな。

「そんな戯言を言っていないで、さっさと練習しなさい ! 」
と、大人買いした FangFang SOLOたちが私に言っているようです。(笑)


二胡教則本の話

本日は、日頃レッスンなどでお世話になっている二胡教則本のお話を少し。
来月で二胡を始めてから丸6年になります。二胡を始めたきっかけはNHKの大河ドラマの
「風林火山」で流れるチェン・ミンさんのオープニングのテーマ曲がとても素晴らしく
私もこんな曲が弾けるようになったらいいな、と思ったことでした。
中学生の頃からいくつかの楽器をやってきましたが、二胡なら弦もたった2本しかないし
簡単に弾けるようになるだろうと、当時は完全にナメてかかっていました。(笑)
実際に二胡を購入して独学で弾き始めたのですが、音階は何とか弾けるようにはなったものの
そこから先はどうしようもなくなり、現在お世話になっている老師の門を叩いたという訳です。
どんな楽器でもやはりきちんと個人レッスンで教えていただくことは、上達には不可欠だと
思います。

我が老師のレッスンでは当初、北京の中央音楽学院の民族音楽学部 学部長として著名な
趙寒陽老師の基礎教程のテキストを主体として、1レッスンで練習曲を2〜4曲ずつ進めていき
約2年ほどで、このテキストを修了しました。

趙寒陽教則本

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このテキストはさすがに中国二胡教育界ナンバー1と評される趙寒陽老師により執筆された
というだけあって、これ以上分かり易く便利な二胡教則本は、他に類を見ないのでないかと
思います。
内容は、D調、G調、F調、C調などのやさしい基本演奏方法だけでなく、
慢弓(ゆっくり動作)、快弓(速い動作)、連弓(スラー)、頓弓(スタカート)、揉弦(ヴィブラート)
滑音、各種装飾音など、二胡の基本技能についての正しい演奏方法も丁寧に分かり易く
説明されています。この教則本を最後まで進めると、二胡考級の7級前後の楽曲が弾けるような
基礎技術が習得できるようになっています。(二胡考級は1〜10級まであり10級が最も難しい)
ただ当然ですが中国語での解説であることが、日本人にとって少々難点です。
しかし練習曲や楽曲を弾くことには何の問題もないと思います。

特に、基本的な技術を習得しないままで二胡を練習し、技能的に壁に突き当たってしまっている
二胡愛好者の方たちにとっては、福音となるような非常に素晴らしいテキストであると言えます。

【補足】2012年度版からは表紙が変更されています。
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我が老師のレッスンで、このテキストを修了した後に採用され、現在も使用しているのは
二胡演奏家として、また香港を中心に活動する二胡教育家として著名な、王國潼老師の
快速技巧練習のテキストです。

快弓本

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これは快弓(速い動作)の技術を上げるためのテキストなのですが、写真でもお判りのように
各調の第1ポジションから第5ポジションぐらいまでの半音刻みの換把練習が、これでもかと
いうぐらいに過酷に延々と続きます。しかも快弓でやれ ! と…。さすがに1回のレッスンで
練習曲1曲ずつしか進めていけませんので、いつになったら終わるのかと気が遠くなりました。
全くもってマゾヒスティックなテキストなのであります。(笑)
まあ私は、そういうストイックな練習は嫌いな方ではありませんので、ヒーハー言いつつも
やっているうちに、近頃やっと出口が見えてきました。
振り返ってみれば、この過酷な練習は結果的にずいぶんと役に立っているように思います。
どんな楽譜に対しても怖れることはなくなりました。
王國潼師と我が老師に感謝です。

レッスンでは、主となる教則本の他にも、同時並行で楽曲の練習用として、
日本で出版されている賈鵬芳(ジャー・パンファン)の教則本や曲集の中に採用されている
楽曲を毎回1〜2曲ずつ程度進めていきました。
その後、現在は上海音楽学院が採用する二胡考級曲集を最初から順番に弾いています。
また、自分のレパートリーとなる演奏会用の楽曲の指導も毎回していただいています。

ジャーパンファン教則本

ジャーパンファン曲集

考級曲集


まあ、このような濃いレッスンを毎回楽しんで受けさせていただいているというお話でした。

さてつい最近、二胡関係者の方だけではなく、他の楽器の関係者の方々からもブログなどで
絶賛されている二胡教則本が出版されていますので、是非ご紹介させていただきたいと
思います。

20130121二胡教則本
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二胡音楽の父、劉天華の孫弟子にあたり、上海音楽学院にて長く一流の二胡奏者たちの育成に
当たられた、張韶老師により1989年に出版されて以来、アジア地域で大ベストセラーとなった
「二胡広播教学講座」の日本語訳版である「張韶老師の二胡講座 上巻」が、それです。

二胡広播教学講座

底本となっている「二胡広播教学講座」は歴史ある、二胡弾きにとってのバイブル的な教本です。
300ページにも及ぶその内容は、『二胡』という楽器についてのあらゆる側面に触れています。
教則本というより、伝統音楽研究者にとっての文献的資料と言っても過言ではありません。

そのような名著を翻訳者の方が丁寧に日本語訳し、さらに現代の二胡音楽界の状況を踏まえて
詳細かつ膨大な注解を加えられています。
このような日本語の解説本は空前絶後ではないでしょうか。

実は昨日、我が老師に二胡を学んでいる一門の合同練習会と新年会が開催されたのですが
新年会での席上で、私がこの本について「現在日本で出版されている二胡教則本の5倍〜10倍
ぐらいの内容の濃さですよね」と老師に水を向けると、我が老師は「いや100倍です ! 」と
キッパリとおっしゃっておりました。(笑)

これは二胡弾きたる者の、必修本と言ってもいいのではないでしょうか。
下巻の出版も楽しみです。


二胡盒

二胡盒 (にこごう èrhúhé)とは中国語で、二胡ケースのことです。
日本ではこの言葉は全く使われていませんが、例えば中国のオンラインショッピング市場
として有名な淘宝網(táobǎowǎng タオバオワン)などで商品を検索する時に
「二胡盒 」と打ち込めば、何百個もの中国製二胡ケースがヒットしてきます。
二胡弾きの方は、ケースを探したい時など覚えておくと便利な中国語かもしれません。

さて、我が私設の二胡博物館には、現在14本の二胡ケースがあります。(笑)
二胡ケースは二胡の保管や運搬などには不可欠ですが、二胡と違って主役ではなく
どちらかと言うと「縁の下の力持ち」的なグッズなのではないでしょうか。

今日は私の所有する二胡ケースの中から、私自身がBest3と思っているものをご紹介しながら
その「縁の下の力持ち」に少しスポットライトを当てていきたいと思います。

中国 上海製 Neptune(海王星)810型二胡ケース

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琴弓を取り外して別に収納できます。
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湿度計もついています。
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二胡ケースには、中国製、台湾製、日本製のものがありますが、圧倒的に多いのが中国製
で、おそらく全体の9割を遥かに超えるシェアを誇っていると思われます。
その次が台湾製で、日本製は残念ながら私の知るところ、たった一つの製品しかありません。

しかし品質や耐久性を考えると、私的にはやはり日本製や台湾製に軍配が上がります。
特に長安楽器などの台湾製には優秀な製品が多く、新商品が発売されるとしばらくして
大陸で良く似た安価な類似商品が出回るというパターンが繰り返されているようです。
類似商品は、それなりの品質、耐久性に留まっているものが多いのではないでしょうか。

そういった現状の中で、この上海製のNeptune (ネプチューン)ブランドの製品は
デザイン、品質、耐久性ともに中国国内はおろか、世界トップクラスではないかと思います。
このブランドはサックスなどの金管楽器ケースも製造しているようです。

この製品は、私がこのブログでも度々引用させていただいている
『中乐图鉴』(ちゅうがくずかん=沈正國氏主宰の中国伝統楽器研究のwebsite)でも
二胡ケースの歴史に触れる中で、現代の最高レベルの二胡ケースとして紹介されています。

1950年代の二胡ケース(1-3番目の写真)と現代の二胡ケース(4番目の写真)
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写真参考: 中乐图鉴 (文字をクリックするとサイトに飛びます)

ただ、この素晴らしい製品は日本で販売されていないことと、価格が高いのが難点です。
例えば日本で3万円前後で販売されている比較的高級な中国製二胡ケースは、その殆どが
淘宝網などで見られる中国国内の一般価格では、500〜700人民元(約7,500〜10,500円)
なのですが、この二胡ケースは現地価格でその3倍程度で、一般家庭の月収に相当します。
中国で一般的に購入される二胡ケースが30〜200人民元(450〜3,000円)であることを
考えれば、如何ほどのレベルかはお判りいただけると思います。

なお、このケースは現在中国国内でも稀にしか販売されているのを見ることがなく
入手はかなり難しいかも知れません。その代わりということではないですが
同ブランドで若干価格的に求めやすくなった同タイプのケースをよく見ます。
私も色違いで2つ入手しましたが、内部仕様は同じで品質や耐久性は全く変わりません。
表面素材の撥水性がより高くなり、TSAロックもついて、むしろ進化したのかも知れません。

中国 上海製 Neptune(海王星)YZ017型二胡ケース

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余談ですが私は、ケースや弓、弦などは、日本では中国国内の現地価格の数倍の売値と
なっていることが多いため、個人輸入代行に依頼して中国からまとめ買いすることが多いです。
(しかし日本での販売価格も、結局は諸々の輸入コストや中国からの輸入リスク、利益などを
考慮すると、まあ妥当な価格であると言えなくもないのではないかとは思っておりますが。
中には時々、えーっ? と感じてしまう業者の方も…。)


にちわ楽器(日本和楽器製造)の二胡ケース

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これが私の知るところ唯一の、日本製二胡ケースです。
私は保管時に琴弓を取り外すため、琴弓がケース内で二胡に干渉して松脂が付かないよう
琴弓が固定されて収納できるケースしか使用しませんが、そのようなケースを探していた所
青森市の津軽三味線用品を販売しているショップでこのケースを見つけました。
おそらく三味線ケースのノウハウを、二胡に応用したものと思われますが
地味な感じながら細部に至るまでの造りは、さすがにmade in Japanの高品質です。
この製品は価格も手頃ですので、コストパフォーマンスの非常に高い製品である思います。
現在は上記の製造元の「にちわ楽器」のウェブサイトでも入手可能です。


USA ゼロハリバートンの二胡ケース

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二胡を2把と琴弓2本を収納できるいいケースで、中々気に入ったものがなかったために
他の用途のケースで二胡に流用できるものはないかと、あちこち探していましたところ
これを見つけました。独自の技術によるアルミ鍛造製です。滑らかなカーブが綺麗です。
これはビジネスマンの方なら、アタッシェケースなどでお馴染みのゼロハリバートンです。
そしてこれの本来の用途は、ショットガン(散弾銃)などを収納するためのガンケースなのです。

二胡を立てて2把収納するのにベストのサイズでしたので、購入して低反発ウレタン素材と
フェイクファーを二胡の形に合わせて加工し、出来たユニットを嵌め込んで自作しました。
このケースの最大の利点は、ロックすると完全に湿気をシャットアウトすることです。
日本では中々手に入りませんので、北米の知人を介して個人輸入しました。
まあ、値段は「言わぬが花」かも知れませんね。(笑)

アタッシェケースの場合は、よく傷だらけのボコボコにして使っておられる方を
お見受けします。それはそれでビジネスマンの勲章のようなものなのでしょうが
私は、ボコボコにする勇気がありませんでしたので、牛革を片身半頭分買ってきて
型紙を当てて採寸し、手縫いでこのケース専用のボディスーツを作成しました。
擦り傷などを防げますので、これを持っての外出時には大変重宝しています。

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でも、このケースは「縁の下の力持ち」のくせに結構重いのですヨ。(泣)


ミュート

本日は二胡の便利なアクセサリーについてのお話です。
二胡を初めて弾かれた方や、生で聴かれた方は、意外にその音量が大きいのに驚かれます。
練習時など周囲の迷惑とならないように、二胡を弾く環境確保に苦心されている方も
多いのではないかと思います。

そこで大いに役立つのが、ミュート (弱音器)です。
私も家人が休んでいる時や夜間の練習時には、いつも重宝させていただいています。

市販されているミュートには色々な製品がありますが、大別すると3タイプに分類されます。

最初のタイプは下の写真のような形に削りだした木の塊に、薄い板を取り付け
木塊と薄板の間のスリットに2本の弦を挟み込んで、駒の上にセットするタイプです。

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このタイプのものは私もいくつか実際に試してみましたが
二胡の音量は半分以上小さくなるように思われます。
3タイプの中でも弱音効果が大きいと言えます。音程もほとんど変わりません。
欠点はビビリ音が発生すること、長く弾いていると弦の振動で動いて外れてしまうことです。


2番目のタイプは、洗濯バサミのように上から駒を挟み込むものです。

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このタイプのものも音程が殆ど変わらずにミュートできる優れものです。
音量の減少は半分までぐらいでしょうか。雑音となる振動も抑えてくれるようで
小さい音量ながら、雑音のない結構クリアな美しい音質になりますので
このミュートを使うと、なんだか自分が上手くなったような錯覚に陥ります。(笑)
弱音度合いと音質の良さを考えれば、このタイプはなかなか良い選択です。
私はこのタイプに出会ってからは、ずっと愛用しております。

あえて欠点を言えば、金属でバネが強力ですので駒などを傷つけないか心配なことです。
それで私は、駒を挟み込む部分を熱収縮チューブでコーティング加工して使用しています。

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この製品は、台湾唐克楽器が「黒胡蝶」という製品名で特許を取得しています。
最近、大陸製の類似商品が安価で流通していますが、板バネ部分の耐久性という点では
台湾製の純正品がとても優れていて、コストパフォーマンスの点で軍配が上がると思います。
もちろん日本国内でも購入できます。

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ここで余談ですが、このタイプの原理を応用すれば、大きな洗濯バサミ形状のものであれば
同じ効果が得られます。下の写真はホームセンターで入手できる「ミニクランプ」です。

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この場合は、駒をサイドから挟み込みます。ミュート効果は「黒胡蝶」と同じぐらいです。

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このような使い方をすれば、さらにミュート効果は上がります。カッコ悪いですけど。(笑)

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さて3つ目のタイプのミュートです。このタイプは弦と皮の間に挟み込んで使用します。
市販の製品は結構たくさんのものがあります。このタイプは二胡に限らず三味線などでも
使われていて、「忍び駒」という名で呼ばれています。なかなか雰囲気のある名ですね。

三味線の「忍び駒」
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三味線での使用例
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二胡用の「忍び駒」タイプのミュート
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この「忍び駒」タイプもミュート効果はかなり優れています。
ただ欠点は、音程を変えずに使うならば、本来の駒を外してしまわなければならないことです。
もちろん駒の上部に差し込んで使用することもできますが、その場合は音程が高くなります。

このタイプは構造上、弦の振動を琴胴と皮全体に分散させることでミュート効果を得ています。
そこで私は、この「忍び駒」を本来のミュートのためではなく、二胡の保管時の皮の保護
という目的で、大変重宝して使用させていただいています。
私は、二胡に触れる頻度が結構多いこともあり、二胡を始めて以来、普段は弦を緩めたことは
ありません。弦を張ったまま何もせずに保管しますと、駒にかかる圧力で皮が変形して
弛んできますので、駒よりも若干高さがあり琴胴の幅より少し大きい「忍び駒」を自作して
保管時の弦の圧力の殆どを琴胴の縁で受け、皮に圧力がかからないようにしています。

ウェンジュと象牙で自作した「忍び駒」
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二胡保管時の状態
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おかげでどの二胡も皮の状態はいつもベストをキープできています。


スネークウッドと象牙の「忍び駒」製作過程大公開
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完成でーす。星三つ ! (笑)
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いやあ、二胡は色々と楽しめていいですね。(笑)


冬の花

今日はお正月の松飾りを近くの神社へ返納するため出かけることにしました。
我が家の周辺は、木々もすっかりと葉を落として寒々しい風景です。
まだまだこれからが寒さの本番なのでしょう。

昨年の暮れに見かけたツバキの蕾も、まだしっかりと開店準備中のものもありますが
よく見るとあちこちで艶やかな赤い花を咲かせ始めています。

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冬のツバキは本当に存在感がありますね。
他に咲いている花はないかと注意して歩いてみると、ありました、ありました。

ユリオプスデージー。キク科の花です。
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三色すみれ、パンジー。冬の花の代表格ですね。
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アリッサムの群生です。冬の白もいいですね。
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寒さにもめげずに頑張っている花を堪能しながらも、お腹が空いたのでお昼ご飯へ。
久しぶりに神戸の三宮まで足を伸ばしてみました。

私のお気に入りの隠れ家のお店でランチです。このお店はゆったりと食事が楽しめます。
特にこのカウンター席からの六甲山ビューは、本当に開放的で食事を美味しくしてくれます。

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本日は焼き肉です。
まあ、花より団子ということですね。(笑)


二泉胡がやってきた

2日ほど前、私の私設の二胡博物館に新しい二胡が仲間入りしました。(笑)
私の8把目となる二胡は、二泉胡 (にせんこ=低音二胡)です。
材質は真直ぐに間隔の詰まった綺麗な杢目で、木密度も高くよく熟成した経年老紅木です。

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普通の二胡と比較してみると、右の二泉胡の方が少しだけ琴胴が大きいのがわかります。
体積にすると30〜40%は大きいと思われます。これは低音をよく響かせるためです。

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この二泉胡は、以前このブログでご紹介したこともありますが
上海の人間国宝級の巨匠「王根興」(おう こんこう)の作品です。
師も今年78歳となり、もうほとんど二胡の製作をしていないとも聞いています。
彼が23歳で立ち上げ、中国でも有数の民族楽器工場に育て上げた上海民族第一楽器廠で
師の技のレシピを受け継いで弟子たちが作り、王根興のブランド名で世に出している
二胡はたくさんあると思いますが、彼が手ずから製作した二胡は大変な稀少価値がありますので
中国や台湾を含めて、現状で伝統楽器の市場に出回っている数は微々たるものと考えられます。

余談ですが、師の一番愛弟子として既に独立して中国初の女流巨匠と評され、日本でも
プロ演奏家のチェン・ミンを始め、その製作した二胡のファンの方たちが多いのが、
有名な「胡涵柔」(こ かんじゅう)です。彼女は王根興の技の遺伝子を受け継ぎ
それを彼女自身の感性で深化させたような素晴らしい二胡を作ります。

ともあれ私は、二泉胡でしか弾けない曲がいくつか弾きたかったという想いも手伝い
この数年で確実に入手困難になっていくであろう、王根興師の自ら製作した二泉胡を
今回思い切って購入したというわけです。

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「王根興」の刻印とともに、琴胴上部に「納音」の刻印。あとでお話ししますがこの二泉胡は
特別にデザインされたもので、「納音」はデザイン設計をした「沈正國」の号です。

王根興師
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『中乐图鉴』沈正國氏主宰の中国伝統楽器研究のwebsiteより

王根興師の紹介動画(10年前の映像)
(文字をクリックするとYouTubeに飛び動画が再生されます。職場などでご覧の方はご注意を。)
王根興師の皮張り実演動画
(台湾の百楽琴苑という楽器店のサイトにリンクしています。これは大変貴重な動画だと思います。)

2003年上海民族第一楽器廠では、既に楽器廠を定年退職していた王根興師に特別に依頼をして
明清時代の紫檀の家具材を使った10本限定の「流水琴首」というデザイン二胡を世に出しました。
この二胡は、当時の上海の一般家庭の年収に相当するぐらいの価格でした。

王根興作「流水琴首」
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【写真参考:『中乐图鉴』】

その後王根興師は2009年、自ら独自に彼の弟子である中国伝統楽器研究家の「沈正國」とともに、
中国の様々な伝統文化をモチーフに現代の二胡をデザインした限定版の二胡製作を開始しました。
それが、いま私の手元にもある2把の二胡と二泉胡です。
師は自らの技の集大成として、それらの製作に力を込められたのではないかと私は思っています。

自ら製作した荷塘月色二胡を手に (台湾 長安楽器にて)
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【写真参考:『中乐图鉴』】

この二泉胡は、以前もこのブログでご紹介したことのある、私の所有する虎紋木二胡と同じ
2009年版の特別なデザインで、「朱自清」という詩人による有名な散文のテーマである
『荷塘月色』(かとうげっしょく=「蓮の池の月の光」という意味)を琴頭に採用しています。

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無題

虎紋木二胡と比べても、一本一本手作りのために彫刻された細部が違っています。

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二泉胡は普通の二胡より、5度前後低いチューニングとなります。弦もG-D、A-Eなど
チューニングに合わせた専用弦となります。(二胡はD-A)

二胡の曲を二泉胡で弾くと、ズーンと胸に響く何とも言えぬ心地よい低音の魅力が炸裂します。
何だか自分がフランク永井になってしまったようないい気分です。(古ーっ。年がバレバレ。笑)

二泉胡のためのソロの楽曲は数が少ないのですが、著名な曲としては二泉胡の名の由来となった
「二泉映月」を始めとして、「寒春風曲」「流波曲」などの名曲があります。

中でも盲目の大道奏者、阿炳(アービン、本名=華彦钧 1893-1950)が作曲した「二泉映月」は
阿炳の死後あまり広く知られていませんでしたが、1978年に小澤征爾が中国を訪問した際、
姜建華(現:北京中央音楽学院教授)の演奏する「二泉映月」に深く感動し、
あの有名なタングルウッド音楽祭に彼女をソリストとして招いたことから、一躍世界に知られる
こととなった逸話のある曲で、聴く人を惹きつけ心を揺さぶる感動的な名曲です。

阿炳の故郷である無錫の西には、「唐代の茶神」と呼ばれた文人・陸羽により「天下第二泉」と
名付けられた名泉があります。

無錫郊外、錫惠公園の二泉
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「二泉映月」は、35歳にして失明した阿炳が、若い頃に見たこの清らかな泉の水面に
煌々と映った月と、数奇な自らの人生を思い出しながら作った曲なのです。
自らが舐めてきた人生の辛酸への憤り、未来への憧れ、その想いを二本の弦と一本の弓に託して
語るように、訴えるように演奏する曲です。
心に思うがままに過去の記憶を投影させて奏でたので、元の曲名は『依心曲』というものでした。
しかし、あまりにも美しい曲なので、改名を薦められて現在の曲名である「二泉映月」に改めたと
言われています。

今では二胡曲の最高傑作の一つとされ、二胡を独奏楽器として高めた不朽の名作です。
そして、中国近代音楽史上、最も貴重な遺産だとも言われています。

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数奇な一生を辿った阿炳ですが、生涯に作曲した曲は200曲を超えると言われています。
しかし、彼が亡くなる数ヶ月前、阿炳の噂を聞いて駆けつけた、当時天津にあった
中央音楽学院(現在は北京)の教授たちが、まさに没年となる1950年に奇跡的に採録に成功した
わずか6曲だけを除いて、他の全ての曲は、彼の死とともに失われてしまいました。
その6曲の阿炳の歴史的な演奏は、今でも貴重な遺産として後世の私たちに伝えられています。

阿炳の故郷である無錫市内の阿炳銅像
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二胡弾きなら一度は弾いてみたい、いや弾けるようになりたい「二泉映月」。
それから私の大好きな「流波曲」。
これらの二泉胡の名曲にも、今年はチャレンジしてみたいと思います。


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二泉映月 (文字をクリックするとYouTubeに飛んで演奏が始まります)
流波曲 (文字をクリックするとYouTubeに飛んで演奏が始まります)

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
本日のお土産は日本で活躍されている二胡奏者、王霄峰 (ワン・シャオフォン)さんの
「二泉映月」と「流波曲」の無伴奏独奏です。どうぞご堪能あれ。

ミクロの合わせ技

本日は二胡の調弦のお話です。
調弦は、弦楽器の奏者にとっては基本中の基本です。
私がまだ学生の頃は、A音の音叉を耳の後ろにあてて楽器を調弦したものですが
現在はクロマティック・チューナーという便利な機器がありますので、
誰でも調弦が随分と楽にできるようになりました。

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最近はiphoneやスマートフォン用のチューナーアプリもあります。
うっかりチューナーを忘れた時など、私もかなり重宝しています。

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さて本題の二胡の調弦ですが、
二胡を始めたばかりの人にとっては、この調弦はかなり難しい事と感じられるようです。
それには理由があります。

2本の弦を巻き付ける琴軸(糸巻き)というものが、二胡にはついています。
この琴軸の弦を巻き付ける部分の直径は、どの二胡もほぼ10mmです。

紫檀转丝二胡轴新1

従って琴軸が一回転すると、円周の31.4mm分、弦が引っ張られるということになります。
一方、内弦と外弦がDとAにほぼ調弦されている状態で、音を半音上げるためには
たった1〜2mm前後の長さを琴軸で巻き上げればよいと言われています。

半音というのは、チューナーの目盛でいうと左端から右端までの幅に相当し
これを一般的に100CENT(セント)という単位で表します。
ついでにご説明しておきますと
クロマティック・チューナーでは合わせたい基音が目盛の中央に位置し
上下50セントずつのズレを計測できます。ズレが50セントを超えた場合は
次の半音が自動的に基音として採用されるという仕組みになっています。
目盛上の三角のくさび形の印にも、ちゃんとした意味があるのですが
音階や和音や、平均律や純正律の話をすると長くなりますので、またの機会に。

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実際に調弦をする時には、ピッタリと目盛の真ん中に1セントのズレもなく合わないと
上部にある緑色のランプが常時点灯しませんので、皆さん苦労して合わせるわけです。
しかしながら、例えば外弦の1セントの誤差というのは、琴軸の巻き上げ距離でいうと
仮に半音分の巻き上げを2mmとしても、2mm×1/100=0.02mmということになりますから
緑のランプを常時点灯させるということは五十分の一ミリ (=20μ)のミクロの世界の長さを
琴軸を人間の手で回して動かして微調整するという、超職人技が必要になるということです。
勿論、チューナーにもそれほど計測感度の良くないものも結構ありますし
合わせる方も普通は疲れてテキトーなところで妥協してしまうでしょう。

話が少し脇道に逸れますが、日本のある高級二胡販売サイトに、無錫の二胡製作大師の陸林生と
娘の陸林藝、婿の卒春洪 (彼らもすでに陸翁の後継者として名人と評されている)が見ている前で
娘夫婦の息子とおぼしき青年(つまり陸翁の孫)が、何やら雑談を交わしながら祖父や母の製作した
二胡の試奏をしているという動画がいくつかありました。
その青年は絶対音感に優れているのか、チャッチャッ、チョチョイのチョイと琴軸や千斤を動かして
チューナーなどもなしで、ほんの数秒で調弦して、いくつかの曲を試奏してみせるのですが
それがまた、かなり上手くて音程も音質も素晴らしいのです。
調弦を見ていて、こいつカッコいいなぁ、と感心する反面、二胡って実は結構アバウトでアナログで
演奏者の技量次第でいかようにも名演奏が紡ぎだせる、という世界なのかもしれないなぁ、などと
思ってみたりもしました。つまり、「弘法筆を選ばず」みたいなことでしょうか。
空海ご本人は、「良工はまずその刀を利(と)くし、能書は必ず好筆を用う」ということも
おっしゃっています。ですから「弘法筆を選ばず」には逆説的な真理が隠されていると思います。
技に優れた者はそうでない者より、たとえどんな道具を使っても常に上手である。
しかし技に優れた者に、良い道具が不必要だということはない。むしろ必要。「鬼に金棒」となる。
この真理を自分の側に引き寄せて解釈すると、たとえ良い楽器や道具を手に入れたとしても
それだけで直ちに上手くなるわけではない。技を磨かなければ。という私への戒めですね。(笑)

脇道どころか、かなり脱線してしまいました。
まあ、素人離れした超絶技を持つ人々のお話はさておき、調弦の話に戻りますと
仮に5セントのズレの調弦で妥協するにしても、二十分の一ミリの技の世界なのであります。

琴軸は琴棹の穴に刺さっているだけですので、弦が勝手に巻き戻らないようにロジンを塗るなど
ある程度、摩擦係数を高めることで止まっています。
ですから、ほんのちょっと回転させようと思っても、クリッと1mm以上動いてしまうことなど
日常茶飯事です。つまり必要な長さの何十倍も動いてしまうのです。
このことが初心、初級の方にとって、二胡の調弦を難しいものにしているのです。
勿論、めげずに頑張って調弦していると、ミクロを当てるコツがつかめて上達はしていきます。

伝統的な琴軸に改良を加えたギア式の琴軸もあります。調弦は比較的ラクです。
プロも使っていますが、見た目が伝統的な形とは違う点で、好みが分かれるところです。

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この大変な調弦を楽にしてくれるツールとして、微調器 (アジャスター)というものが
あります。様々なタイプのものが販売されていて、一応、殆ど全てのタイプのものは
いつもの悪いクセで、購入して実際に試してみました。(笑)

分数サイズのバイオリンのE線にも使われるタイプのものです。
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ネジが少し大きくてまわしやすいタイプ。
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微調器つきの紫檀製の千斤です。千斤のかわりにこれを琴棹に取り付けます。ゴツいなあ。
試しに取り付けてみましたが、金属系の雑音がとれなくて、即お蔵入りしました。(泣)
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2つ分の微調器を分解してコンパクトに1つにまとめて、私が自作したもの。紫檀製です。
これは結構長い間、実際に使っていました。
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微調器はこのように取り付けます。
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これらの微調器のいいところは、ネジを半回転させて弦が動く長さが0.2〜0.3mmぐらい
ですので、本当にラクに調弦の微調整ができるというところにあります。
プロの演奏家、例えば于紅梅などもバイオリンタイプのものを愛用しているようです。

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これらには欠点もあります。それはある狭い範囲で弦に変形する力を加えますので
弦が傷みやすいということです。また弦に異物をぶら下げることで倍音構成にも
影響して、わずかに音質が変化するようです。

私自身は、例によって色々と試行錯誤した結果、現在は糸を使った微調整をしています。

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内弦、外弦それぞれに糸を、弦を少し引っ張った状態で架けて、それらを上下に動かすことで
調弦の微調整をします。弦に優しく、音質にも殆ど影響がありません。
単純に糸を輪にして弦と琴棹に架けて結ぶだけというのが、昔から行われていた方法ですが
糸が琴棹によりしっかりと安定するように、さらに私なりの糸の架け方を工夫してみました。

わかりやすいように太い紐で架け方を示してみましたが、うーん解りにくいかもしれません。
左端に弦が通って、中央のダブルループに琴棹が通るイメージです。
もし興味がおありの方は、ご連絡いただければ糸をラクに架ける裏技をお教えします。
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私の好きなプロ演奏家で、上海音楽学院の教授でもある汝藝 (Ru Yi)も
この糸を使った方法を採用しています。

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汝藝演奏 劉天華『閑居吟』
(文字をクリックするとYouTubeに飛び演奏が始まります。職場などでご覧の方はご注意を。笑)

この汝藝老師が無伴奏で奏でる、劉天華の閑居吟はとてもスゴいです。

調弦一つとっても、いろいろと手のかかる楽器なのではありますが
いやあ二胡って本当にいいですね。(笑)


初日2013神戸

2013年 明けましておめでとうございます。

本日は、初日の出を見ようと早起きしました。
我が街は神戸の海に浮かぶ海上都市ですので、少し南に歩くと海を臨めます。

まだ月も出ていて、とってもよい天気です。
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夜明け前の大阪湾の向こうに見えるのは、大阪南港のハイアット・リージェンシーホテルです。
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さあ、いよいよ初日が上がってきました。
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対岸は堺コンビナート。
さぞやお日さんも煙た〜かろ。サノヨイヨイ。(炭坑節か? 笑)

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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